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January 6, 2005 Vol. 352 No. 1

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スタチン療法,LDL コレステロール,C 反応性蛋白,および冠動脈疾患
Statin Therapy, LDL Cholesterol, C-Reactive Protein, and Coronary Artery Disease

S.E. Nissen and Others

背景

最近の研究で,強化スタチン治療により,中等度のスタチン治療よりも良好な転帰が得られることが示されている.強化スタチン治療によって低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールと C 反応性蛋白(CRP)が共により大きく減少したことから,これら 2 つのバイオマーカーと疾患進行とのあいだの関連性が示唆された.

方 法

血管造影によって確認された冠動脈疾患を有する患者 502 例を対象に,血管内超音波検査を実施した.患者を中等度治療(経口プラバスタチン 40 mg/日)または強化治療(経口アトロバスタチン 80 mg/日)に無作為に割付けた.粥状硬化の進行を測定するため,18 ヵ月後に再度超音波検査を行った.ベースライン時と追跡時に,リポ蛋白濃度と CRP 値を測定した.

結 果

患者全体において,LDL コレステロール値の平均は,ベースライン時の 150.2 mg/dL(3.88 mmol/L)から 18 ヵ月後には 94.5 mg/dL(2.44 mmol/L)に低下した(P<0.001).また,CRP 値の幾何平均は 2.9 mg/L から 2.3 mg/L に低下した(P<0.001).LDL コレステロール値の低下と CRP 値の低下の相関性は低かったが,患者全体では有意であった(r=0.13,P=0.005).しかし,いずれの治療群においても,単独では有意ではなかった.単変量解析において,LDL コレステロール値,CRP 値,アポリポ蛋白 B-100 濃度,非高比重リポ蛋白コレステロール値の変化率は,粥状硬化の進行速度に関連していた.これらの脂質濃度の減少で補正すると,CRP 値の減少は,独立して有意に進行速度と相関した.LDL コレステロールと CRP の減少が中央値よりも大きい患者では,両バイオマーカーの減少が中央値に満たなかった患者よりも,疾患の進行速度が有意に遅かった(P=0.001).

結 論

冠動脈疾患患者において,強化スタチン治療に関連した粥状硬化の進行速度の低下は,中等度スタチン治療に比べ,粥状硬化を形成するリポ蛋白濃度と CRP 値のより大きな減少に有意に関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 29 - 38. )