The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 10, 2005 Vol. 352 No. 6

同種移植腎拒絶反応における 1 型アンジオテンシン II 受容体活性化抗体
Angiotensin II Type 1-Receptor Activating Antibodies in Renal-Allograft Rejection

D. Dragun and Others

背景

抗 HLA 抗体により,すべての患者でではないが,一部の患者で血管病変を伴う難治性の同種移植片拒絶反応が起きる.

方 法

難治性の血管性拒絶反応を起した腎移植レシピエント 33 例について検討した.13 例にはドナー特異的な抗 HLA 抗体が認められたが,20 例には認められなかった.抗 HLA 抗体をもたない患者 16 例で悪性高血圧がみられ,そのうち 4 例にてんかん発作が起った.残りの 17 例に悪性高血圧はみられなかった.われわれは,1 型アンジオテンシン II(AT1)受容体を標的とする活性化抗体が関与しているのではないかという仮説を立てた.

結 果

抗 HLA 抗体をもたない悪性高血圧症患者 16 例から採取した血清では,全例で AT1 受容体を標的とする活性化 IgG 抗体が検出されたが,それ以外の患者からは検出されなかった.これらの受容体活性化抗体のサブクラスは IgG1 と IgG3 であり,AT1 受容体の第 2 細胞外領域上の 2 つの異なるエピトープに結合する.これらの抗体をもつ患者から採取した腎生検標本では,組織因子の発現が増加していた.血管細胞を in vitro で AT1 受容体活性化抗体を用いて刺激したところ,ERK 1/2 キナーゼのリン酸化が起り,転写因子活性化蛋白 1(AP-1)と核因子κB の DNA 結合能が上昇した.ラットの腎移植モデルでは,AT1 受容体拮抗薬ロサルタンにより AT1 受容体に対する抗体のアゴニスト作用が遮断され,また,抗体の注入により血管病変と高血圧が引き起された.

結 論

HLA を介さず AT1 受容体を介する経路が,難治性の血管性拒絶反応の原因である可能性がある.拒絶反応を示した患者では,AT1 受容体抗体の除去,あるいは AT1 受容体を薬剤で遮断することが有効である可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 558 - 69. )