The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 10, 2005 Vol. 352 No. 6

抗レトロウイルス薬の多剤併用療法時代における HIV スクリーニングの費用対効果
Cost-Effectiveness of Screening for HIV in the Era of Highly Active Antiretroviral Therapy

G.D. Sanders and Others

背景

抗レトロウイルス薬の多剤併用療法(HAART)の時代において,医療現場でのヒト免疫不全ウイルス(HIV)スクリーニングの費用,有益性,および費用対効果は明らかにされていない.

方 法

HIV スクリーニングプログラムに関連する費用,QOL,生存年数を,現行の診療と比較するマルコフモデルを開発した.この 2 つの戦略では,症状に基づき症例を発見する方法で症状のある患者を同定した.確認された患者は,CD4 細胞数が 350 個/mm3 以下に低下した場合に治療を開始した.疾患の進行は,CD4 細胞数とウイルス負荷に基づいて定義した.性感染の可能性は,ウイルス負荷量,HIV 感染状況の認識,カウンセリング効果をもとに判定した.

結 果

未確認の HIV 感染の有病率が 1%とすると,スクリーニングを行うことで平均余命が 5.48 日(QOL 補正余命で 4.70 日)延び,推定費用はスクリーニングを行った患者 1 例当り 194 ドル,費用対効果は QOL 補正後生存年数 1 年当り 15,078 ドルであった.スクリーニング費用は,未確認の HIV の感染率が 0.05%を超えた場合に QOL 補正後生存年数 1 年当り 50,000 ドル未満であった.性行為による HIV 伝播を除外すると,スクリーニングの費用対効果は,QOL 補正後生存年数 1 年当り 41,736 ドルであった.5 年ごとにスクリーニングを行うと,1 回スクリーニングプログラムに比べ QOL 補正後生存年数 1 年当り 57,138 ドルかかるが,感染率が高い状況ではより効率的であった.今回得られた結果は,行動変容の効果,早期発見・早期治療の有用性,HIV 感染の有病率および発生率の影響を受けやすかった.

結 論

医療現場における日常的な HIV スクリーニングの費用対効果は,有病率が比較的低い集団においてさえも,一般的に認められている介入法の費用対効果と同程度であるため,こうしたスクリーニングプログラムを拡大すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 570 - 85. )