The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 10, 2005 Vol. 352 No. 6

米国における HIV スクリーニングの拡大 ― 費用対効果分析
Expanded Screening for HIV in the United States-An Analysis of Cost-Effectiveness

A.D. Paltiel and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の有病率が 1%以上という状況で,米国疾病対策予防センター(CDC)が定期的な HIV のカウンセリング・検査・専門医紹介(HIVCTR)を推奨しているにもかかわらず,およそ 28 万人の米国人が,HIV への感染に気付いていない.有効な抗レトロウイルス療法が存在する時代において,HIV の拡大スクリーニングの効果は不明である.

方 法

HIV のスクリーニングと治療に関するコンピュータ・シミュレーションモデルを開発し, 次の 3 つの集団で,定期的な自由意志による HIVCTR と現行の診療とを比較した. 3 つの集団は,「高リスク」(未確認の HIV 感染率 3.0%,年間発生率 1.2%),「CDC 閾値」(それぞれ 1.0%,0.12%),および「米国一般」(それぞれ 0.1%,0.01%)とした.入力データには,臨床試験と観察コホートから得られたデータを用いた.転帰は,QOL 補正生存期間,費用,費用対効果とした.

結 果

高リスク集団では,現行の診療に加え HIV 抗体のスクリーニングを酵素免疫測定法(ELISA)で 1 回行うことが,HIV の早期診断につながった(診断時の平均 CD4 細胞数,210 個/mm3 対 154 個/mm3).1 回限りのスクリーニングにより,HIV 感染患者の平均生存期間も改善された(QOL 補正生存期間,220.7 ヵ月 対 219.8 ヵ月).増分費用効果比は,QOL 補正生存年数が 1 年延長するごとに 36,000 ドルであった.5 年ごとに検査を行うと,QOL 補正生存年数が 1 年延長するごとに 50,000 ドルかかり,3 年ごとに検査を行うと,QOL 補正生存年数が 1 年延長するごとに 63,000 ドルかかった.CDC 閾値集団では,ELISA 法による 1 回限りのスクリーニングの費用効果比は,QOL 補正生存年数が 1 年延長するごとに 38,000 ドルであり,一方,5 年ごとに検査を行うと QOL 補正生存年数が 1 年延長するごとに 71,000 ドル,3 年ごとに検査を行うと QOL 補正生存年数が 1 年延長するごとに 85,000 ドルであった.米国一般集団では,1 回のスクリーニング費用は QOL 補正生存年数 1 年当り 113,000 ドルであった.

結 論

リスクがもっとも低い集団を除く全集団において,3~5 年ごとに行う定期的な自由意志による HIV スクリーニングは,臨床および費用対効果の点から妥当である.一般集団においては 1 回限りのスクリーニングでも費用効果が高い可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 586 - 95. )