The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

December 1, 2005 Vol. 353 No. 22

ハイチの AIDS 患者 1,000 例における抗レトロウイルス療法
Antiretroviral Therapy in a Thousand Patients with AIDS in Haiti

P. Severe and Others

背景

ハイチでは,後天性免疫不全症候群(AIDS)の成人と小児の 1 年生存率は,抗レトロウイルス療法を受けていない場合,約 30%である.抗レトロウイルス療法がハイチや他の発展途上国で利用できるようになったのは最近のことであり,発展途上国における抗レトロウイルス療法の有効性に関するデータは限られている.これらの国では,栄養失調や,治療に関する検査モニタリングの実施が少ないことに加え,熱帯病や結核との共感染率が高いことにより,抗レトロウイルス療法の有効性が低下している可能性がある.

方 法

ハイチのポルトープランスにおいて,2003 年 3 月に治療を開始した,連続した AIDS 患者の最初の 1,004 例を対象に,抗レトロウイルス療法の有効性を検証した.患者は,以前に抗レトロウイルス療法を受けていなかった.

結 果

14 ヵ月の期間中に,13 歳未満の小児 94 例を含む 1,004 例の患者に,3 種類の抗レトロウイルス薬による治療を開始した.登録時に,成人と青年の CD4 陽性 T 細胞数は中央値で 131 個/mm3(四分位範囲 55~211 個/mm3)であり,小児の CD4 陽性 T 細胞の割合は中央値で 13%(四分位範囲 8~20%)であった.Kaplan-Meier 法による生存分析では,治療開始から 1 年後に生存していた患者の割合は,成人と青年で 87%,小児で 98%であった.48~56 週追跡した成人と青年 100 例のサブグループでは,76 例でヒト免疫不全ウイルス RNA のコピー数が 400 コピー/mL 未満であった.成人と青年では,ベースラインから 12 ヵ月までに,CD4 陽性 T 細胞数が中央値で 163 個/mm3(四分位範囲 77~251 個/mm3)増加した.小児では,CD4 陽性 T 細胞の割合は,中央値でベースラインの 13%から 12 ヵ月の時点では26%(四分位範囲 22~36%)まで増加した.治療制限につながる毒性は,成人と青年の 910 例中 102 例(11%)と,小児の 94 例中 5 例(5%)に認められた.

結 論

この報告は,発展途上国の多数の患者に対して,有効な抗レトロウイルス療法が実施可能であることを確認している.概して,転帰は米国における転帰と同等である.これらの結果は,発展途上国の AIDS 患者が抗レトロウイルス療法を受けられるようにするための,国際的な取り組みを支持する根拠となる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2325 - 34. )