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日本語アブストラクト

December 1, 2005 Vol. 353 No. 22

高齢者における従来型抗精神病薬と非定型抗精神病薬による死亡リスクの比較
Risk of Death in Elderly Users of Conventional vs. Atypical Antipsychotic Medications

P.S. Wang and Others

背景

最近,米国食品医薬品局(FDA)は,非定型抗精神病薬による治療により,高齢患者において死亡率が上昇するという報告を発表した.しかし,この報告は,従来型抗精神病薬による治療には適用されておらず,より古い薬剤による死亡リスクは明らかにされていない.

方 法

年齢 65 歳以上で,ペンシルバニア州の薬剤保険給付を受け,1994~2003 年に従来型または非定型の抗精神病薬による治療を開始した患者 22,890 例を対象に,後ろ向きコホート研究を実施した.死亡率および Cox 比例ハザードモデルを用いて,抗精神病薬による治療開始から 180 日以内の死亡リスク,および 40 日未満,40~79 日,80~180 日の死亡リスクを比較した.従来の多変量 Cox モデル,傾向スコアによる補正,および操作変数法を用いて,潜在的な交絡変数を補正した.

結 果

全調査期間について,従来型抗精神病薬による治療は,非定型抗精神病薬による治療よりも補正死亡リスクが有意に高かった(180 日以内:相対リスク 1.37,95%信頼区間 1.27~1.49;40 日未満:相対リスク 1.56,95%信頼区間 1.37~1.78;40~79 日:相対リスク 1.37,95%信頼区間 1.19~1.59;80~180 日:相対リスク 1.27,95%信頼区間 1.14~1.41).結果は,痴呆(認知症)または療養施設への入居の有無に従って定義したすべてのサブグループにおいても同様であった.リスク上昇がもっとも大きかったのは,治療開始直後ならびに高用量の従来型抗精神病薬で治療を行った場合であった.非定型抗精神病薬による治療と比較した従来型抗精神病薬による治療に関連するリスク増加は,傾向スコアによる補正および操作変数推定を用いて実施した確認解析においても認められた.

結 論

これらの結果が確認されれば,従来型抗精神病薬による治療により,非定型薬と少なくとも同程度に,高齢者における死亡リスクが増加する可能性があることが示唆される.また,FDA の警告に応じて中止した非定型薬の代りに,従来型抗精神病薬を用いるべきではないことが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2335 - 41. )