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December 1, 2005 Vol. 353 No. 22

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同種移植腎レシピエントの尿中 FOXP3 メッセンジャー RNA
Messenger RNA for FOXP3 in the Urine of Renal-Allograft Recipients

T. Muthukumar and others

背景

腎移植の急性拒絶反応後の転帰は,同種移植腎の生検を行っても予測困難である.

方 法

急性拒絶反応患者 36 例,慢性移植腎症患者 18 例,生検結果が正常な被験者 29 例の尿検体を調べた.制御性 T 細胞に対する制御機能因子 FOXP3 のメッセンジャー RNA(mRNA)の量,および CD25,CD3 ε,パーフォリン,18S リボソーム RNA(rRNA)の mRNA の量を,リアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応法で測定した.mRNA 量と急性拒絶反応,拒絶反応からの回復,および移植腎廃絶との関連を検討した.

結 果

>尿検体中の,FOXP3 mRNA コピー数の 18S リボソーム RNA コピー数に対する比を対数変換した値の平均値(±SE)は,急性拒絶反応群(3.8±0.5)において,慢性移植腎症群(1.3±0.7)や生検結果正常群(1.6±0.4)よりも高かった(KruskalミWallis 検定による P<0.001).FOXP3 mRNA 量は,急性拒絶反応群では生検時に測定した血清クレアチニン値と逆相関を示したが(Spearman の相関係数,-0.38;P=0.02),慢性移植腎症群や生検結果正常群では示さなかった.ROC 曲線の解析により,急性拒絶反応の治療結果は,FOXP3 mRNA 量に対する至適カットオフ値を 3.46 にとると,感度 90%,特異度 73%で予測できることが示された(P=0.001).FOXP3 mRNA 量によって,急性拒絶反応後 6 ヵ月以内の移植腎廃絶のリスクがある被験者を特定することができた(FOXP3 mRNA 量が 3 段階でもっとも低い群に対する相対リスク,6;P=0.02).他の mRNA 量では,急性拒絶反応の治療結果や移植腎廃絶を予測することはできなかった.

結 論

尿中の FOXP3 mRNA 量の測定は,腎移植の急性拒絶反応の転帰についての予測を向上させる,非侵襲的な方法である可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2342 - 51. )