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December 8, 2005 Vol. 353 No. 23

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Clostridium difficile の毒素遺伝子変異流行株
An Epidemic, Toxin Gene-Variant Strain of Clostridium difficile

L.C. McDonald and Others

背景

最近の報告によると,米国において Clostridium difficile 関連疾患の発生率と重症度が上昇しており,その上昇は,毒性,耐性,あるいはその両方が高まった C. difficile の新菌株の出現と関連している可能性が示唆されている.

方 法

2000~03 年に C. difficile 関連疾患の集団発生が起きた 6 つの州(ジョージア,イリノイ,メイン,ニュージャージー,オレゴン,ペンシルベニアの各州)の,8 医療施設から C. difficile の分離株計 187 株が得られた.これらの分離株の特徴を,制限酵素解析(REA),パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE),毒素タイピングによって明らかにし,その結果を 2001 年以前に採取された 6,000 株超の分離株のデータベースと比較した.ポリメラーゼ連鎖反応法を用いて,最近報告された毒素,binary toxin CDT と,病原性座位をもつ遺伝子 tcdC の欠失を検出した.tcdC の欠失により,毒素 A,B の産生が増加する可能性がある.

結 果

1 つの REA 群(BI)に属し,同じ PFGE 型(NAP1)をもつ分離株が,8 施設すべての患者の標本で同定された.5 施設では,収集した分離株の半数以上を占めた.1984 年にはじめて特定された REA 群 BI は,過去のデータベースの分離株の中にはほとんどみられなかった(14 例のみ).過去および最近(2001 年以降)の BI/NAP1 株はいずれも毒素型 III,binary toxin CDT 陽性で,tcdC に 18-bp の欠失があった.最近の BI/NAP1 株は,BI/NAP1 以外の株と比較して,ガチフロキサシンとモキシフロキサシン(moxifloxacin)に対して耐性をもつ割合が高いが(100% 対 42%,P<0.001),クリンダマイシンに対して耐性をもつ割合は両群で同等であった(79%).最近の BI/NAP1 株はいずれもガチフロキサシンとモキシフロキサシンに耐性を示したが,過去の BI/NAP1 株で耐性を示した株はなかった(P<0.001).

結 論

毒素遺伝子に変異を有する C. difficile の菌株は,以前は低頻度であったが,フルオロキノロン系抗菌薬に対して耐性をもつようになり,地理的に分散した C. difficile 関連疾患の集団発生の原因として出現している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2433 - 41. )