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December 29, 2005 Vol. 353 No. 26

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早期乳癌の閉経後女性に対するレトロゾールとタモキシフェンの比較
A Comparison of Letrozole and Tamoxifen in Postmenopausal Women with Early Breast Cancer

The BIG 1-98 Collaborative Group

背景

アロマターゼ阻害薬レトロゾール(letrozole)は,転移性乳癌に対してタモキシフェンよりも有効な治療法であり,術前化学療法としても有効である.われわれは,閉経後女性を対象に,ステロイドホルモン受容体陽性乳癌に対する補助療法として,レトロゾールとタモキシフェンの比較を行った.

方 法

Breast International Group(BIG)1-98 試験は,ホルモン受容体陽性乳癌の閉経後女性を対象に,さまざまな補助内分泌療法レジメンによる 5 年間の治療を比較した,無作為化第 3 相二重盲検試験である.レジメンは,レトロゾール投与,レトロゾール投与後タモキシフェン投与,タモキシフェン投与,タモキシフェン投与後レトロゾール投与の 4 つとした.今回の解析では,はじめにレトロゾール投与を受け 2 群と,はじめにタモキシフェン投与を受け 2 群を比較した.解析には,逐次投与群の治療が変更されるまでのイベントと追跡調査も含めた.

結 果

評価可能なデータが得られる女性計 8,010 例を登録し,4,003 例をレトロゾール群に,4,007 例をタモキシフェン群に割付けた.中央値 25.8 ヵ月の追跡調査で,レトロゾール群では 351 件,タモキシフェン群では 428 件のイベントが起り,5 年無病生存率の推定値はそれぞれ 84.0%,81.4%であった.レトロゾールはタモキシフェンと比較して,無病生存期間を終らせるイベントのリスクを有意に低下させ(ハザード比 0.81,95%信頼区間 0.70~0.93,P=0.003),とくに遠隔再発のリスクを低下させた(ハザード比 0.73,95%信頼区間 0.60~0.88,P=0.001).血栓塞栓症,子宮体癌,性器出血は,タモキシフェン群のほうが多かった.レトロゾール群では,骨イベントと心イベントの発生率,および高コレステロール血症の発生率が高かった.

結 論

ホルモン受容体陽性乳癌の閉経後女性では,タモキシフェンよりも,レトロゾールによる補助療法で,とくに遠隔部位の再発リスクが低下した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2747 - 57. )