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July 7, 2005 Vol. 353 No. 1

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酸化リン脂質,Lp(a) リポ蛋白,および冠動脈疾患
Oxidized Phospholipids, Lp(a) Lipoprotein, and Coronary Artery Disease

S. Tsimikas and Others

背景

Lp(a) リポ蛋白は炎症性酸化リン脂質と結合する.モノクローナル抗体 E06 を用いて測定した酸化低比重リポ蛋白(LDL)値が,閉塞性冠動脈疾患の存在やその広がりを反映するかどうかを検討した.閉塞性冠動脈疾患は,血管内径の狭窄が 50%を超えた場合と定義した.

方 法

計 504 例の患者の酸化 LDL 値および Lp(a) リポ蛋白値を,冠動脈造影の直前に測定した.酸化 LDL 値は,アポリポ蛋白 B-100 の 1 粒子当りの酸化リン脂質の量(酸化リン脂質:アポ B-100 の比)として計算する.

結 果

酸化リン脂質:アポ B-100 の比および Lp(a) リポ蛋白の測定値は,低値に偏る歪んだ分布を示し,酸化リン脂質:アポ B-100 の比は,Lp(a) リポ蛋白の値と強い相関を示した(r=0.83,P<0.001).コホート集団全体では,酸化リン脂質:アポ B-100 の比および Lp(a) リポ蛋白値は,冠動脈疾患の存在と広がり(すなわち,血管内径の狭窄が 50%を超えている血管の数)に対し,強く段階的な相関を示した(P<0.001).60 歳以下の患者のうち,酸化リン脂質:アポ B-100 の比および Lp(a) リポ蛋白値がそれぞれ最高四分位群の患者では,最低四分位群の患者と比較して,冠動脈疾患のオッズ比は 3.12(P<0.001),3.64(P<0.001)であった.60 歳以下の患者では,高コレステロール血症で,かつ酸化リン脂質:アポ B-100 の比(オッズ比 16.8,P<0.001)および Lp(a) リポ蛋白値(オッズ比 14.2,P<0.001)が最高四分位群の場合,冠動脈疾患の発生率が有意に高かった.試験群全体では,酸化リン脂質とアポ B-100 の比と閉塞性冠動脈疾患の関連は,Lp(a) リポ蛋白値を除く臨床指標ならびに脂質の指標と独立していた.しかし,60 歳以下の患者では,酸化リン脂質:アポ B-100 の比は依然として冠動脈疾患の独立した予測因子であった.

結 論

循環血液中の酸化 LDL 値は,とくに 60 歳以下の患者において,血管造影によって認められた冠動脈疾患と強い相関を示した.これらのデータは,Lp(a) リポ蛋白によるアテローム形成には,関連する炎症性酸化リポ蛋白が部分的に介在している可能性を示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 46 - 57. )