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August 25, 2005 Vol. 353 No. 8

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腎移植におけるベラタセプトによる共刺激遮断
Costimulation Blockade with Belatacept in Renal Transplantation

F. Vincenti and Others

背景

腎移植は,末期腎疾患患者に対する標準的な治療法である.カルシニューリン(calcineurin)阻害薬を用いた維持免疫抑制療法では,優れた 1 年生存率が得られるものの,長期的には,高い死亡率と移植腎喪失率に関連している.これは一部には,このような薬剤が腎,心血管,代謝に与える有害作用に起因している.選択的 T 細胞活性化阻害薬のベラタセプト(belatacept)のような,より毒性が低い可能性のある薬剤を使用することで,転帰が改善する可能性がある.

方 法

腎移植レシピエントを,ベラタセプトの集中的レジメン,非集中的レジメン,およびシクロスポリンレジメンを受ける群に無作為に割付けた.患者全例に,バシリキシマブ(basiliximab),ミコフェノール酸モフェチル,副腎皮質ステロイドによる寛解導入療法を実施した.主要目的は,6 ヵ月の時点での急性拒絶反応の発生率について,ベラタセプトのシクロスポリンに対する非劣性(治療間の差に関する 95%信頼区間の上限が 20%未満であること)を示すことであった.

結 果

6 ヵ月の時点での急性拒絶反応の発生率は群間でほぼ同等であり,集中的ベラタセプト群で 7%,非集中的ベラタセプト群で 6%,シクロスポリン群で 8%であった.12 ヵ月の時点での糸球体濾過率は,集中的・非集中的ベラタセプト群ともシクロスポリン群よりも有意に高く(それぞれ 66.3 mL/分/1.73 m2,62.1 mL/分/1.73 m2,53.5 mL/分/1.73 m2),慢性移植腎症の頻度は,両ベラタセプト群のほうがシクロスポリン群よりも低かった(それぞれ 29%,20%,44%).シクロスポリン群では脂質低下薬と降圧薬の使用率がより高かったにもかかわらず,脂質濃度と血圧は両ベラタセプト群と同等,あるいはベラタセプト群よりも低かった.

結 論

試験用の選択的共刺激遮断薬であるベラタセプトは,腎移植後の急性拒絶反応を予防する手段としてシクロスポリンに劣るものではないと考えられる.ベラタセプトは,糸球体濾過率を維持し,慢性移植腎症の発症率を低下させる可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 770 - 81. )