The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 16, 2006 Vol. 354 No. 11

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

高齢者の大うつ病に対する維持療法
Maintenance Treatment of Major Depression in Old Age

C.F. Reynolds III and Others

背景

大うつ病の高齢患者は,初回エピソードを呈する患者を含め,うつ病の再発,障害,死亡のリスクが高い.

方 法

2×2 無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,70 歳以上のうつ病患者(55%は初回エピソードを呈する)を対象に,パロキセチン維持療法と月 1 回の対人関係療法(inter-personal psychotherapy)の有効性を検討した.パロキセチンと心理療法による治療に反応した患者のうち,116 例を 4 つの維持療法プログラム(パロキセチンまたはプラセボ投与のいずれかと,月 1 回の心理療法または臨床管理面談のいずれかの組み合せ)のうちの 1 つに無作為に割付け,2 年間または大うつ病が再発するまで継続した.臨床管理面談は,心理療法を行うのと同じ看護師,ソーシャルワーカー,心理学者が行い,症状についての話し合いを含めた.

結 果

2 年以内の大うつ病再発率は,パロキセチン+心理療法群で 35%,パロキセチン+臨床管理面談群で 37%,プラセボ+心理療法群で 68%,プラセボ+臨床管理面談群で 58%であった(P=0.02).心理療法の影響を調整後,プラセボ投与患者の再発の相対リスクはパロキセチン投与患者の 2.4 倍であった(95%信頼区間 1.4~4.2).1 件の再発を防止するためにパロキセチンを投与する必要のある患者数は,4 例であった(95%信頼区間 2.3~10.9).内科疾患(高血圧や心疾患など)の合併が少なくその重症度が低い患者ほど,パロキセチンの効果が大きかった(ベースラインにおける内科疾患の重症度との交互作用について P=0.03).

結 論

パロキセチンと心理療法による最初の治療に反応した 70 歳以上の大うつ病患者において,パロキセチン維持療法を 2 年間継続した場合,うつ病の再発率が低下した.月 1 回の心理療法による維持療法では,うつ病の再発は予防されなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00178100)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1130 - 8. )