The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 30, 2006 Vol. 354 No. 13

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

高齢者における外来ガチフロキサシン治療と血糖異常
Outpatient Gatifloxacin Therapy and Dysglycemia in Older Adults

L.Y. Park-Wyllie and Others

背景

ガチフロキサシンは,低血糖と高血糖の両方に関連している.カナダ,オンタリオ州に在住する 66 歳以上の住民約 140 万人を対象に,さまざまな抗菌薬の使用に伴う血糖異常に関連する健康転帰について検討した.

方 法

2 つの人口ベースのコホート内症例対照研究を実施した.第 1 の研究では,症例患者は,マクロライド,第 2 世代セファロスポリン,または呼吸器に対するフルオロキノロン系薬(ガチフロキサシン,レボフロキサシン,モキシフロキサシン,シプロフロキサシン)のいずれかによる外来治療後,低血糖のため入院治療を受けた者とした.第 2 の研究では,症例患者は,高血糖のため入院治療を受けた者とした.それぞれの症例患者について,年齢,性別,糖尿病の有無,抗菌薬治療の時期でマッチさせた対照者を 5 例まで同定した.

結 果

2002 年 4 月~04 年 3 月のあいだに,抗菌薬治療後 30 日以内に低血糖の治療を受けた患者 788 例を同定した.マクロライド系抗菌薬と比較して,ガチフロキサシンは,低血糖リスクの増加と関連していた(補正オッズ比 4.3,95%信頼区間 2.9~6.3).レボフロキサシンもリスクのわずかな増加と関連していたが(補正オッズ比 1.5,95%信頼区間 1.2~2.0),モキシフロキサシン,シプロフロキサシン,セファロスポリンにはそのようなリスクは認められなかった.次に,抗菌薬治療後 30 日以内に高血糖の治療を受けた患者 470 例を同定した.マクロライド系抗菌薬と比較して,ガチフロキサシンは,高血糖のリスクの大幅な増加と関連していたが(補正オッズ比 16.7,95%信頼区間 10.4~26.8),他の抗菌薬ではリスクは認められなかった.いずれの研究においても,リスクは糖尿病の有無に関係なく同等であった.

結 論

外来患者におけるガチフロキサシンの使用は,他のフルオロキノロン系薬を含むその他の広域スペクトル抗菌薬の使用と比較して,低血糖および高血糖の入院治療のリスク増加と関連している.

本論文は,2006 年 3月 1 日 www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 1352 - 61. )