小児における院内での心室細動の転帰
Outcomes of In-Hospital Ventricular Fibrillation in Children
R.A. Samson and Others
心室細動と心室頻拍は,小児では成人に比べて心停止の原因となる頻度は低い.これらの頻脈性不整脈は,心肺蘇生(CPR)中にも,おそらくは再灌流不整脈として発生する可能性がある.われわれは,心停止の初期に発生した心室細動や心室頻拍の転帰が,あとから(CPR 中に)発生した心室細動や心室頻拍の転帰よりも優れているかどうかを検討した.
大規模な多施設共同院内心停止登録から,18 歳未満の患児における心停止をすべて同定した.χ2 検定と多変量ロジスティック回帰分析を用いて,心停止の初期に心室細動または心室頻拍が発生した小児,CPR 中に心室細動または心室頻拍が発生した小児,心室細動・心室頻拍のいずれも発生しなかった小児の転帰をそれぞれ比較した.
院内で心停止を起した指標患児 1,005 例中,272 例(27%)に心停止中の心室細動または心室頻拍の記録が確認された.心室細動または心室頻拍は,104 例(10%)では心停止の初期に無脈性心室頻拍として発生し,149 例(15%)では心停止中に発生した.19 例では,心室細動または心室頻拍の発生時期が記録されていなかった.初期に心室細動または心室頻拍が発生した患児では,35%が生存して退院したのに対し,CPR 中に心室細動または心室頻拍が発生した患児では 11%であった(オッズ比 2.6,95%信頼区間 1.2~5.8).心室細動も心室頻拍も発生しなかった患児では,27%が生存して退院したのに対し,CPR 中に心室細動または心室頻拍が発生した患児では 11%であった(オッズ比 3.8,95%信頼区間 1.8~7.6).
院内で心停止を起した小児患者において,心室細動や心室頻拍が心停止の初期に発生した患児の生存転帰は,CPR 中に発生した患児よりも優れていた.CPR 中に心室細動や心室頻拍が発生した患児の転帰は,収縮不全や無脈性電気活動が認められた患児の転帰と比べて,かなり不良であった.