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February 2, 2006 Vol. 354 No. 5

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乳児ボツリヌス症治療のためのヒトボツリヌス免疫グロブリン
Human Botulism Immune Globulin for the Treatment of Infant Botulism

S.S. Arnon and Others

背景

われわれは,オーファンドラッグであるヒトボツリヌス免疫グロブリン静注薬(BIG-IV)を作成し,ヒトボツリヌス症の腸管毒血症型である,乳児ボツリヌス症の治療における安全性と有効性を評価した.BIG-IV はボツリヌス毒素を中和する薬剤である.

方 法

カルフォルニア州全土で,乳児ボツリヌス症の疑いがある(その後検査で確認された)乳児 122 例(75 例は A 型,47 例は B 型の Clostridium botulinum 毒素に起因)を対象とし,BIG-IV に関する 5 年間の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.治療は入院後 3 日以内に行った.続いて,全米規模で,検査で乳児ボツリヌス症が確認され,入院後 18 日以内に治療を受けた患児 382 例を対象に,6 年間の非盲検試験を実施した.

結 果

無作為化試験では,BIG-IV による治療を受けた乳児では,対照群と比較して,主要有効性転帰の指標である平均入院期間が 5.7 週間から 2.6 週間に短縮した(P<0.001).また,BIG-IV 治療により,集中治療の平均期間が 3.2 週間短縮し(P<0.001),同様に人工換気は 2.6 週間(P=0.01),経管栄養ないし静脈栄養は 6.4 週間短縮した(P<0.001).また,患児 1 人当りの平均入院費が 88,600 ドル(2004 年の米ドル価)減少した(P<0.001).BIG-IV に起因する重大な有害事象はみられなかった.非盲検試験では,入院後 7 日以内に BIG-IV 治療を受けた乳児の平均入院期間は 2.2 週間で,BIG-IV 治療を早期に行ったほうが,より遅くに行った場合よりも,平均入院期間が有意に大きく短縮した.

結 論

A 型または B 型の乳児ボツリヌス症に対し,BIG-IV による迅速な治療は安全であり,入院期間の短縮,入院費用の減少,疾患重症度の低下に有効であった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 462 - 71. )