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February 2, 2006 Vol. 354 No. 5

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難治性統合失調症に対するクロザピン単独投与とクロザピン+リスペリドン併用投与の比較
Clozapine Alone versus Clozapine and Risperidone with Refractory Schizophrenia

W.G. Honer and Others

背景

統合失調症の治療では,複数の抗精神病薬を使用するのが一般的であるが,その効果とリスクは明らかにされていない.

方 法

無作為化二重盲検試験において,統合失調症の患者で,クロザピン(clozapine)による治療への反応が不十分な患者の評価を行った.クロザピンの服用は継続したまま,患者を 3 mg/日のリスペリドンまたはプラセボを 8 週間併用投与する群に無作為に割付けた.この投与コース後に,希望する患者には 18 週間のリスペリドン併用投与を続けた.主要転帰は,陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)による重症度の合計スコアの減少とした.副次的転帰は認知機能などとした.

結 果

計 68 例の患者を各治療に無作為に割付けた.二重盲検の段階で,症状の重症度の合計スコアの平均は,ベースラインから 8 週間のあいだに,リスペリドン群とプラセボ群の両方で減少した.症状軽減効果には,リスペリドン併用群とプラセボ群とで統計学的な有意差は認められず,治療への反応がみられたのはプラセボ群 34 例中 9 例,リスペリドン群 34 例中 6 例であった(P=0.38).リスペリドン群とプラセボ群のあいだで,ベースラインと 8 週間後の PANSS スコアの変化における平均差は 0.1 であった(95%信頼区間 -7.3~7.0).言語作業記憶指標は,リスペリドン群でわずかに低下し,プラセボ群でわずかに改善した(両群のベースラインからの変化を比較した場合,P=0.02).空腹時血糖値の上昇は,リスペリドン群のほうがプラセボ群よりやや大きかった(16.2 mg/dL 対 1.8 mg/dL [0.90 mmol/L 対 0.10 mmol/L],P=0.04).その他の副作用の発生率および重症度については,両群間に差は認められなかった.

結 論

この短期試験では,クロザピンにリスペリドンを追加しても,重度の統合失調症患者の症状は改善されなかった.(ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT00272584)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 472 - 82. )