October 26, 2006 Vol. 355 No. 17
リツキシマブと免疫グロブリン静脈内投与による尋常性天疱瘡の治療
Treatment of Pemphigus Vulgaris with Rituximab and Intravenous Immune Globulin
A.R. Ahmed and Others
尋常性天疱瘡は,皮膚に水疱を形成する自己免疫疾患であり,致死性となる可能性がある.従来の治療法には,高用量の副腎皮質ステロイドと免疫抑制薬の併用,そして免疫グロブリン静脈内投与がある.
従来の治療法と免疫グロブリン静脈内投与に反応が不十分な難治性の尋常性天疱瘡で,病変が体表面積の 30%以上または 3 ヵ所以上の粘膜部位に及ぶか,あるいはその両方に当てはまる患者について検討した.患者に対し,リツキシマブ(375 mg/m2 体表面積)を週 1 回 3 週間投与し,4 週目に免疫グロブリン静脈内投与(2 g/kg 体重)を行う治療を 2 サイクル繰り返した.この寛解導入療法後,月 1 回のリツキシマブ投与と免疫グロブリン静脈内投与を 4 ヵ月連続して行った.血清中の抗ケラチノサイト抗体価と末梢血 B 細胞数を測定した.
11 例中 9 例で病変が急速に消散し,臨床的寛解が 22~37 ヵ月(平均 31.1 ヵ月)持続した.プレドニゾンを含むすべての免疫抑制療法は,すべての患者でリツキシマブ投与の終了前に中止可能であった.2 例では再発時にのみリツキシマブを投与し,寛解が持続した.IgG4 抗ケラチノサイト抗体の力価には,疾患活動性との相関が認められた.末梢血 B 細胞は,リツキシマブ投与開始後すぐ検出不能となったが,その後正常値に戻った.リツキシマブと関連する副作用や感染症はみられなかった.
リツキシマブと免疫グロブリン静脈内投与の併用療法は,難治性の尋常性天疱瘡の患者に有効である.