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August 31, 2006 Vol. 355 No. 9

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大腸腺腫性ポリープを予防するためのセレコキシブ投与
Celecoxib for the Prevention of Colorectal Adenomatous Polyps

N. Arber and Others

背景

シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の過剰発現は,大腸の腺腫性ポリープおよび癌との関連性が確認されていることから,その阻害が化学予防介入として提案されている.

方 法

大腸散発性腺腫性ポリープ予防(Prevention of Colorectal Sporadic Adenomatous Polyps)試験は,COX-2 阻害薬セレコキシブ 400 mg の 1 日 1 回投与についての,無作為化プラセボ対照二重盲検試験である.32 ヵ国の 107 施設で,登録前に腺腫を切除した患者 1,561 例を,低用量アスピリンの使用・不使用に応じて層別化したあと,セレコキシブ(933 例)またはプラセボ(628 例)を 1 日 1 回投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,1 年後または 3 年後の時点での大腸内視鏡検査による腺腫の検出とし,Mantel-Cox 検定を用いて群間比較を行った.

結 果

大腸内視鏡検査は,1 年後に無作為化した患者の 88.7%,3 年後に 79.2%で行われた.有効性解析に組み入れたプラセボ群 557 例とセレコキシブ群 840 例のうち,それぞれ 264 例と 270 例で,1 年後または 3 年後,もしくはその両時点で 1 つ以上の腺腫が認められた.3 年後までに検出された腺腫の累積発生率は,セレコキシブ群では 33.6%,プラセボ群では 49.3%であった(相対リスク 0.64,95%信頼区間 0.56~0.75,P<0.001).3 年後までに検出された進行線腫の累積発生率は,セレコキシブ群では 5.3%,プラセボ群では 10.4%であった(相対リスク 0.49,95%信頼区間 0.33~0.73,P<0.001).重篤と判定された心血管イベントは,セレコキシブ群の 2.5%,プラセボ群の 1.9%で発生した(相対リスク 1.30,95%信頼区間 0.65~2.62).

結 論

セレコキシブ 400 mg の 1 日 1 回投与により,ポリープ切除後 3 年以内の大腸腺腫の発生が有意に減少した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00141193)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 885 - 95. )