August 31, 2006 Vol. 355 No. 9
パーキンソン病に対する脳深部刺激療法の無作為化試験
A Randomized Trial of Deep-Brain Stimulation for Parkinson's Disease
G. Deuschl and Others
進行したパーキソン病ではレボドバによる運動合併症がみられるが,視床下核の神経刺激療法はこれを抑制する.この療法と薬物療法の併用を,内科的管理と比較した.
この無作為化対比較試験では,重度の運動症状がみられる進行したパーキンソン病患者 156 例を登録した.主要エンドポイントは,パーキンソン病質問票(Parkinson’s Disease Questionnaire;PDQ-39)で評価した QOL と,統合パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)パート III(UPDRS-III)で評価した薬物非服用時の症状の重症度における,ベースラインから 6 ヵ月後までの変化とした.
対比較によると,神経刺激療法によるベースラインから 6 ヵ月後までの PDQ-39(78 組中 50 組,P=0.02)と UPDRS-III(78 組中 55 組,P<0.001)における改善度は,薬物療法単独の場合よりも大きく,平均改善度はそれぞれ 9.5 ポイントと 19.6 ポイントであった.神経刺激療法により,PDQ-39 の可動性,日常生活動作,情緒の安定,スティグマ,身体の不調に関するサブスケールが 24~38%改善した.神経刺激療法では,重篤な有害事象の発生頻度が薬物療法単独よりも高く(13% 対 4%,P<0.04),致死的な脳内出血もみられた.有害事象の全発生率は薬物療法群のほうが高かった(64% 対 50%,P=0.08).
パーキンソン病による重度の運動合併症がみられる 75 歳未満の患者を対象としたこの 6 ヵ月間の試験では,視床下核の神経刺激療法は,内科的管理単独よりも有効であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00196911)