The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 29, 2007 Vol. 356 No. 13

冠動脈硬化の進行に対するトルセトラピブの効果
Effect of Torcetrapib on the Progression of Coronary Atherosclerosis

S.E. Nissen and Others

背景

高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値は,心血管リスクと逆相関する.コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬トルセトラピブ(torcetrapib)は,HDL コレステロール値を上昇させるが,この逆相関のメカニズムと関連する機能的効果は依然不明である.

方 法

冠動脈疾患の患者計 1,188 例に,血管内超音波検査を行った.低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を 100 mg/dL(2.59 mmol/L)未満に低下させるためアトルバスタチンを投与した後,患者を,アトルバスタチン単独投与群またはアトルバスタチン+トルセトラピブ 60 mg/日投与群に無作為に割り付けた.24 ヵ月後,910 例(77%)に再び血管内超音波検査を行い,疾患の進行を判定した.

結 果

24 ヵ月後,トルセトラピブ+アトルバスタチン投与により,アトルバスタチン単独投与と比べて,HDL コレステロールの約 61%の相対的上昇と,LDL コレステロールの 20%の相対的低下がみられ,LDL コレステロール 対 HDL コレステロールの比は 1.0 未満に達した.トルセトラピブは,収縮期血圧 4.6 mmHg の上昇とも関連した.アテローム量の比率(主要有効性評価項目)は,アトルバスタチン単独群では 0.19%上昇し,トルセトラピブ+アトルバスタチン群では 0.12%上昇した(P=0.72).副次的評価項目である標準化したアテローム量の変化に関しては,トルセトラピブを支持するわずかな効果が示されたが(P=0.02),もっとも重篤な病変部位ではアテローム量の変化に有意差はみられなかった.

結 論

CETP 阻害薬トルセトラピブは,HDL コレステロールの大幅な上昇および LDL コレステロールの低下と関連していた.また,血圧の上昇とも関連しており,冠動脈硬化の進行に対する有意な抑制作用はみられなかった.こうした有効性の欠如には,この薬剤クラスの作用機序や,分子特異的な有害作用が関連している可能性がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00134173)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 1304 - 16. )