The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 12, 2007 Vol. 356 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

2 型糖尿病に対するインターロイキン-1 受容体拮抗薬
Interleukin-1-Receptor Antagonist in Type 2 Diabetes Mellitus

C.M. Larsen and Others

背景

2 型糖尿病患者の膵島ではインターロイキン-1 受容体拮抗物質の発現が低下しており,ヒト膵 β 細胞ではグルコース濃度の上昇によりインターロイキン-1β の産生が誘導されるため,インスリン分泌障害,細胞増殖の低下,アポトーシスが起きる.

方 法

2 型糖尿病患者 70 例を対象としたこの二重盲検並行群間比較試験では,34 例をアナキンラ(anakinra;組換えヒトインターロイキン-1 受容体拮抗薬)100 mg を 1 日 1 回,13 週間皮下注射する群に,36 例をプラセボ群に無作為に割り付けた.ベースラインと 13 週目に,すべての患者に経口ブドウ糖負荷試験を行い,その後,グルコース 0.3 g/kg 体重,グルカゴン 0.5 mg,アルギニン 5 g の静脈内ボーラス投与を行った.さらに,35 例に高インスリン正常血糖クランプ法を行った.主要エンドポイントは糖化ヘモグロビン値の変化とし,副次的エンドポイントは β 細胞機能,インスリン感受性,炎症マーカーの変化とした.

結 果

13 週の時点で,アナキンラ群ではプラセボ群と比較して,糖化ヘモグロビン値が 0.46 パーセントポイント低く(P=0.03),C-ペプチド分泌が亢進し(P=0.05),プロインスリン/インスリン比(P=0.005),インターロイキン-6 濃度(P<0.001),C 反応性蛋白値(P=0.002)が低下した.インスリン抵抗性,骨格筋のインスリン調節性遺伝子発現,血清アディポカイン濃度,体格指数(BMI)は,両群で同程度であった.症候性低血糖は観察されず,薬剤に関連すると考えられる重篤な有害事象は認められなかった.

結 論

アナキンラを用いてインターロイキン-1 を阻害することにより,血糖異常と β 細胞分泌機能が改善し,全身性炎症マーカーが減少した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00303394)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 1517 - 26. )