January 18, 2007 Vol. 356 No. 3
先天性レプチン受容体欠損の臨床的・分子遺伝学的スペクトル
Clinical and Molecular Genetic Spectrum of Congenital Deficiency of the Leptin Receptor
I.S. Farooqi and Others
レプチン受容体遺伝子(LEPR)の変異による肥満の 1 家族が報告されているが,重度の早期発症型肥満におけるそのような変異の保有率は系統的に調査されていない.
血縁家族の発端者 90 例を含む,過食症および重度の早期発症型肥満の被験者 300 例について,LEPR の配列を特定し,変異が肥満や受容体の機能障害と同時に検出される程度を調べた.また,発端者および異常がみられる血縁者の,代謝,内分泌,免疫の機能について評価した.
被験者 300 例のうち,8 例(3%)がナンセンスまたはミスセンス LEPR 変異を有しており,そのうち 7 例はホモ接合体,1 例は複合ヘテロ接合体であった.すべてのミスセンス変異が受容体のシグナル伝達障害を引き起した.異常がみられる被験者では,過食症,重度肥満,免疫機能の変化,低ゴナドトロピン性性機能低下症による思春期遅発症が特徴として認められた.これらの被験者の血清レプチン濃度は,体脂肪量の増加から予測できる範囲であった.臨床症状の重症度は,先天性レプチン欠損症の被験者に比べて低かった.
重度の早期発症型肥満の被験者コホートにおいて,病原性 LEPR 変異の保有率は 3%であった.レプチンの血中濃度に過剰な上昇はみられなかったことから,血清レプチンはレプチン受容体欠損のマーカーには利用できないと考えられる.発育遅延や異形症が認められない過食症および重度肥満の小児に対しては,先天性レプチン受容体欠損は鑑別診断で考慮すべきである.