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January 18, 2007 Vol. 356 No. 3

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鼓膜チューブと 9~11 歳の時点での発達上の転帰
Tympanostomy Tubes and Developmental Outcomes at 9 to 11 Years of Age

J.L. Paradise and Others

背景

幼少時の持続性滲出性中耳炎は小児の発達障害を引き起すと考えられている.われわれは以前,持続性滲出性中耳炎の 3 歳未満の小児を対象に,鼓膜チューブの早期挿入と待機挿入を比較し,3 歳,4 歳,6 歳における認知,言語,発語,心理社会的発達は改善しないことを報告した.しかし,発達に関わる他の重要な要素は,小児がさらに成長するまで評価することはできなかった.

方 法

乳児 6,350 例を出生後すぐに登録し,中耳の滲出液について定期的に評価した.持続的に滲出液がみられた 3 歳未満の小児 429 例を,鼓膜チューブをただちに挿入する群と,最長で 9 ヵ月間待機したのちに滲出液が持続していればチューブを挿入する群に無作為に割り付けた.これらの小児のうち 391 例を対象に,9~11 歳の時点での識字能力,注意力,社会性,学力について評価した.

結 果

小児の発達に関する 48 の測定項目の平均(±SD)スコアに,鼓膜チューブの早期挿入群と待機挿入群で有意差はみられなかった.これらの測定項目には,Woodcock Reading Mastery Test の Passage Comprehension サブテスト(平均スコア,早期挿入群 98±12 点 対 待機挿入群 99±12 点),WoodcockミJohnson III Tests of Achievement の Spelling,Writing Samples,Calculation サブテスト(それぞれ 96±13 点 対 97±16 点,104±14 点 対 105±15 点,99±13 点 対 99±13 点),視覚・聴覚連続処理試験での注意欠落評価があった.

結 論

われわれの研究で定義されたように,中耳の滲出液が持続する以外は健常な小児では,鼓膜チューブの早期挿入で 9~11 歳までの発達上の転帰は改善されない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00365092)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 248 - 61. )