心血管転帰に関するロシグリタゾンの評価 ― 中間解析
Rosiglitazone Evaluated for Cardiovascular Outcomes - An Interim Analysis
P.D. Home and Others
最近実施されたメタアナリシスにより,2 型糖尿病に対するロシグリタゾン(rosiglitazone)投与に関連して,心筋梗塞および心血管死亡のリスクが上昇するという懸念が生じている.
2 型糖尿病患者で,メトホルミンまたはスルホニル尿素薬の投与では血糖コントロールが不良であった 4,447 例が参加している多施設共同無作為化非盲検非劣性試験において,計画外の中間解析を行った.試験では,2,220 例をロシグリタゾンの追加投与(ロシグリタゾン群)に,2,227 例をメトホルミンとスルホニル尿素薬の併用投与(対照群)に割り付けた.主要エンドポイントは,心血管系の原因による入院または死亡とした.
この中間解析は,平均追跡期間が 3.75 年と短かったため,治療による差を検出するための統計学的検出力に限界があった.主要エンドポイントに達したと判定されたのは,ロシグリタゾン群で 217 例,対照群で 202 例であった(ハザード比 1.08,95%信頼区間 [CI] 0.89~1.31).判定保留となっているエンドポイントを含めると,ハザード比は 1.11(95% CI 0.93~1.32)となった.心筋梗塞,および心血管死亡または全死因死亡に関して,ロシグリタゾン群と対照群のあいだに統計学的に有意な差は認められなかった.ロシグリタゾン群では,対照群よりも心不全を起こした患者が多かった(ハザード比 2.15,95% CI 1.30~3.57).
この継続中の試験から得られた中間解析の結果では,心血管系の原因による入院または死亡の全リスクに対するロシグリタゾンの影響について,結論は出なかった.心血管死亡または全死因死亡のいずれにも,増加を示す所見は認められなかった.ロシグリタゾンに関連して,心不全のリスクが上昇した.このデータは,ロシグリタゾンが心筋梗塞のリスクの上昇と関連するかどうかを判定するには不十分である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00379769)
本論文(10.1056/NEJMoa073394)は,2007 年 6 月 5 日に www.nejm.org で発表された.