August 23, 2007 Vol. 357 No. 8
スウェーデンの肥満者において肥満手術が死亡率に与える影響
Effects of Bariatric Surgery on Mortality in Swedish Obese Subjects
L. Sjostrom and Others
肥満は死亡率の上昇と関連する.体重の減少により心血管系の危険因子は改善するが,全死亡率が低下するかどうかを報告した前向き介入研究はない.実際には,体重の減少が死亡率の上昇と関連することが,多くの観察研究から示唆されている.
前向き対照試験であるスウェーデン肥満者試験(Swedish Obese Subjects study)では,4,047 例の肥満者を対象とした.これらの被験者のうち,2,010 例が肥満手術を受け(手術群),2,037 例が従来の治療を受けた(マッチさせた対照群).平均 10.9 年の追跡期間中の全死亡率を報告する.解析の時点(2005 年 11 月 1 日)で,3 例を除く全例の生存状況が確認できた(追跡率 99.9%).
体重が記録された期間(最長 15 年間)における対照群の体重の変化は,平均で± 2%未満であった.手術群において体重の最大の減少は 1~2 年後に観察され,胃バイパス手術で 32%,垂直遮断胃形成術で 25%,胃バンディング術で 20%であった.10 年後には,ベースラインからの体重減少は,それぞれ 25%,16%,14%で安定した.対照群の 129 例,手術群の 101 例が死亡した.対照群と比較して,手術群の未補正ハザード比は全体で 0.76(P=0.04)であり,性別,年齢,危険因子で補正したハザード比は 0.71(P=0.01)であった.もっとも多かった死因は,心筋梗塞(対照群 25 例,手術群 13 例)と癌(対照群 47 例,手術群 29 例)であった.
重度の肥満に対する肥満手術は,長期にわたる体重の減少と全死亡率の低下に関連する.