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August 23, 2007 Vol. 357 No. 8

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胃バイパス手術後の長期死亡率
Long-Term Mortality after Gastric Bypass Surgery

T.D. Adams and Others

背景

胃バイパス手術は米国で行われている肥満手術の 80%を占めるが,死亡率について,この手術を受けた患者と一般集団の重度肥満者とを比較した長期データは限られている.

方 法

この後ろ向きコホート研究では,胃バイパス手術を受けた患者 9,949 例と,自動車免許を申請した重度肥満者 9,628 例について,長期死亡率(1984~2002 年)を調べた.これらの対象者のうち,手術患者 7,925 例および重度肥満の対照者 7,925 例を,年齢,性別,体格指数(BMI)でマッチさせた.国民死亡記録(National Death Index)を用いて,全死因死亡率および死因別死亡率を調べた.

結 果

平均追跡期間 7.1 年のあいだに,補正後の長期の全死因死亡率は,手術群では対照群と比較して 40%低下した(10,000 人年あたりの死亡数は手術群 37.6 対 対照群 57.1,P<0.001).また,死因別死亡率は,手術群では冠動脈疾患で 56%(10,000 人年あたり 2.6 対 5.9,P=0.006),糖尿病で 92%(10,000 人年あたり 0.4 対 3.4,P=0.005),癌で 60%(10,000 人年あたり 5.5 対 13.3,P<0.001)低下した.しかし,事故や自殺など疾患以外の原因による死亡率は,手術群のほうが対照群よりも 58%高かった(10,000 人年あたり 11.1 対 6.4,P=0.04).

結 論

胃バイパス手術後,長期の全死亡率は有意に低下し,とくに糖尿病,心疾患,癌による死亡の場合に顕著であった.しかし,疾患以外の原因による死亡率は,手術群のほうが対照群と比べて高かった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 753 - 61. )