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April 3, 2008 Vol. 358 No. 14

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ビタミン B12 代謝の cblD 異常に関する遺伝子の同定
Gene Identification for the cblD Defect of Vitamin B12 Metabolism

D. Coelho and Others

背景

ビタミン B12(コバラミン)は,いくつかの代謝経路の重要な補因子である.コバラミンが,その 2 つの補酵素,ミトコンドリア内のアデノシルコバラミンと細胞質内のメチルコバラミンに細胞内で変換することは,メチルマロン酸とホモシステインの恒常性維持のために必要である.細胞内のコバラミン代謝異常の 9 つの型は,体細胞の相補性解析により明らかにされている.これらの異常の 1 つ,cblD 異常により,孤発性メチルマロン酸尿症,孤発性ホモシステイン尿症,またはその両方が生じることがある.発症した患者は,発達,血液,神経,代謝など多臓器に症状を呈する.cblD 異常の原因遺伝子は同定されていない.

方 法

cblD 異常を有する患者 7 例を対象とし,各患者の皮膚線維芽細胞を培養して調べた.微小核融合法と遺伝子の精密マッピングを用いて,原因遺伝子の位置を特定した.この遺伝子を cblD 線維芽細胞にトランスフェクトして,アデノシルコバラミンとメチルコバラミン合成が救済されるかどうかを検討した.

結 果

cblD 遺伝子はヒト染色体 2q23.2 に局在していた.この領域で候補遺伝子が同定され,MMADHC(メチルマロン酸尿症,cblD 型,ホモシステイン尿症 [methylmalonic aciduria, cblD type, and homocystinuria])と命名された.野生型 MMADHC の移入により細胞の表現型が救済され,また,変異体の移入によって変異アレルの機能的重要性が証明された.予測された MMADHC 蛋白は,細菌の ATP 結合カセットトランスポーターとの配列相同性を有し,推定上のコバラミン結合モチーフと推定上のミトコンドリア標的配列を含んでいる.

結 論

MMADHC と命名された遺伝子の変異は,ビタミン B12 代謝における cblD 異常と関与している.さまざまな変異が,この障害の 3 種類の生化学的表現型のそれぞれに関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 1454 - 64. )