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May 1, 2008 Vol. 358 No. 18

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細胞遺伝学的に正常な急性骨髄性白血病における microRNA 発現
MicroRNA Expression in Cytogenetically Normal Acute Myeloid Leukemia

G. Marcucci and Others

背景

近年,癌における microRNA の役割が認識されるようになった.しかし,急性骨髄性白血病(AML)における microRNA の役割については,ほとんど明らかにされていない.

方 法

microRNA 発現プロファイリングを用いて,細胞遺伝学的に正常な AML を有し,高リスクの分子的特徴,すなわち fms 様チロシンキナーゼ 3 遺伝子における遺伝子内縦列重複(internal tandem duplication in the fms-related tyrosine kinase 3 gene;FLT3-ITD),野生型ヌクレオフォスミン(NPM1),あるいはその双方を有する 60 歳未満の成人患者の白血病細胞検体を検討した.無イベント生存率と関連する microRNA シグネチャーを 64 例から成る研究群から導出し,55 例から成る検証群にて検討した.検証群において,microRNA 複合共変量予測因子(microRNA 要約値)を,転帰シグネチャーを形成する microRNA の重み付けを行った値をもとに計算した.

結 果

305 個の microRNA プローブのうち,12 個(microRNA-181 ファミリーメンバーの代表的な 5 個を含む)は,研究群での無イベント生存率と関連していた(P<0.005).検証群では,microRNA 要約値は,無イベント生存率と逆相関を示した(P=0.03).多変量解析では,microRNA 要約値は,FLT3-ITD:野生型 FLT3 の対立遺伝子比や白血球数で補正後も,無イベント生存率と関連を示した(P=0.04).遺伝子発現マイクロアレイ解析から,microRNA-181 ファミリーの発現レベルは,toll 様受容体およびインターロイキン-1 β を介した自然免疫経路に関与する蛋白質をコードする予測標的遺伝子の発現レベルと,逆相関することが明らかになった.

結 論

分子的に定義される高リスクの,細胞遺伝学的に正常な AML における microRNA シグネチャーは,臨床転帰と,特定の自然免疫経路に関与する蛋白質をコードする標的遺伝子の双方に関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 1919 - 28. )