産科ケア改善のための行動介入
A Behavioral Intervention to Improve Obstetrical Care
F. Althabe and Others
エビデンスに基づく産科診療の実施は,依然として重要な課題である.このような診療の普及と実施に向けた有効な戦略が必要とされている.
アルゼンチンとウルグアイの 19 病院を,分娩第 3 期における会陰切開の実施と管理に関するガイドラインを作成・実施するため多角的な行動介入(オピニオンリーダーの選考,双方向型研修会,手技の訓練,病院の産科スタッフに対する 1 対 1 の学術的訪問指導,注意喚起,フィードバックなど)を行う群と,非介入群のいずれかに割り付けた.主要転帰は,分娩第 3 期におけるオキシトシンの予防的使用率および会陰切開率とした.主な副次的転帰は,分娩後出血,および産科スタッフに分娩第 3 期の会陰切開と管理に関して対応を変える態勢ができていることとした.転帰の評価は,ベースライン,18 ヵ月間の介入終了時,介入終了後 12 ヵ月の時点に行った.
オキシトシンの予防的使用率は,介入を受けた病院ではベースライン時の 2.1%から介入終了後には 83.6%に上昇し,対照病院では 2.6%から 12.3%に上昇した(変化の差に関する P=0.01).会陰切開の実施率は,介入を受けた病院で 41.1%から 29.9%に低下したのに対し,対照病院では変化がなく,介入前は 43.5%,介入後は 44.5%であった(変化の差に関する P<0.001).また,介入は分娩後の 500 mL 以上の出血率の低下(相対的低下 45%,95%信頼区間 [CI] 9~71),および 1,000 mL 以上の出血率の低下(相対的低下 70%,95% CI 16~78)に関連していた.対応を変えることに対する産科スタッフの受け入れ態勢もまた,介入を受けた病院では向上していた.会陰切開の実施およびオキシトシンの予防的使用に対する影響は,介入終了後 12 ヵ月の時点でも持続していた.
多角的な行動介入により,分娩第 3 期におけるオキシトシンの予防的使用は増加し,会陰切開の実施は減少した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00070720,Current Controlled Trials 番号:ISRCTN82417627)