臨床的に悪性度の高い神経芽細胞腫に関連した染色体遺伝子座 6p22
Chromosome 6p22 Locus Associated with Clinically Aggressive Neuroblastoma
J.M. Maris and Others
神経芽細胞腫は,発達中の交感神経系の悪性腫瘍であり,通常若年小児によくみられ,死にいたることが多い.その原因は不明である.
ゲノムワイド関連研究を実施し,イルミナ社の HumanHap550 BeadChip を用いて,神経芽細胞腫を有するヨーロッパ系の患児 1,032 例と対照児 2,043 例に由来する血清検体の DNA の遺伝子型判定を行った.その後,有意な関連を再現するため,3 つの独立した神経芽細胞腫患児群(計 720 例)と対照児 2,128 例に由来する検体について遺伝子型判定を行った.
神経芽細胞腫と,染色体バンド 6p22 にあり,予測遺伝子 FLJ22536,FLJ44180 を含む 3 つの連続した一塩基多型(SNP)の共通のマイナーアレルとのあいだに有意な関連を観察した(P=1.71×10-9~7.01×10-10,対立遺伝子のオッズ比 1.39~1.40).もっとも有意な関連を示す SNP,rs6939340 の,リスクのある G 対立遺伝子のホモ接合性により神経芽細胞腫が発生する確率が増大した(オッズ比 1.97,95%信頼区間 1.58~2.45).その後,3 つの独立した症例集積における 3 つの 6p22 SNP の遺伝子型判定により,われわれが観察した関連が確認された(共同解析における rs6939340 で P=9.33×10-15).6p22 にあるリスク対立遺伝子がホモ接合性の神経芽細胞腫患児では,腫瘍の転移(ステージ 4)(P=0.02),腫瘍細胞における MYCN 癌遺伝子の増幅(P=0.006),再発(P=0.01)の頻度がより高かった.
染色体バンド 6p22 でよくみられる遺伝的変異は,神経芽細胞腫に対する感受性と関連している.
本論文(10.1056/NEJMoa0708698)は,2008 年 5 月 7 日に www.nejm.org で発表された.