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February 28, 2008 Vol. 358 No. 9

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全身性エリテマトーデスと C8orf13-BLKITGAM-ITGAX との関連
Association of Systemic Lupus Erythematosus with C8orf13-BLK and ITGAM-ITGAX

G. Hom and Others

背景

全身性エリテマトーデス(SLE)は,疾患リスクが遺伝的寄与因子と環境的寄与因子の影響を複合的に受ける臨床的に不均一な疾患である.感受性遺伝子として HLA-DRB1 の対立遺伝子,IRF5STAT4 が確立されているが,これら以外のリスク遺伝子座の存在を示唆する強力なエビデンスがある.

方 法

SLE 症例 1,311 例と対照者 1,783 例の DNA 試料において,500,000 を超える一塩基多型(SNP)の遺伝子型決定を行った.被験者はすべてヨーロッパ系北米人であった.公的なデータリポジトリから,追加の対照者 1,557 例の遺伝子型を入手した.技術上のアーチファクトを低減し,集団の層別化の有無を是正するため,厳格な品質管理フィルターにかけて SNP と SLE の関連を調べた.また,スウェーデンの患者 793 例と対照者 857 例で,最有力の遺伝子座の再現性を検証した.

結 果

B リンパ球チロシンキナーゼ(BLK)および C8orf13(染色体 8p23.1)の転写開始点の上流領域の遺伝的変異は,米国とスウェーデンの両症例対照集団で疾患リスクに関連し(rs13277113,オッズ比 1.39,P=1×10-10),B 細胞系列のメッセンジャー RNA レベルの変化とも関連していた.さらに,インテグリン α M 遺伝子(ITGAMCD11b ともいう)およびインテグリン α X 遺伝子(ITGAX)の近傍に存在する染色体 16p11.22 の変異型が,両国を合わせた集団において SLE と関連していた(rs11574637,オッズ比 1.33,P=3×10-11).

結 論

SLE に関与する 2 つの新しい遺伝子座を同定し,再現により確認した.すなわち,BLK の発現抑制および C8orf13 の発現増加に関連するプロモーター領域の対立遺伝子と,ITGAM-ITGAX 領域の変異である.

本論文(10.1056/NEJMoa0707865)は,2008 年 1 月 20 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 900 - 9. )