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October 16, 2008 Vol. 359 No. 16

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染色体 1q21.1 の反復性再構成と小児における多様な表現型
Recurrent Rearrangements of Chromosome 1q21.1 and Variable Pediatric Phenotypes

H. Mefford and Others

背景

ヒトゲノムの重複と欠失は疾患を引き起こしたり,疾患にかかりやすくしたりする.このような変化を検出する技術の進歩により,多数の患者において,超顕微鏡的な不均衡(submicroscopic imbalance)をルーチンに同定することが可能になる.

方 法

原因不明の精神遅滞,自閉症,先天性奇形を有する患児群と,障害のない対照群の 2 群を対象として,染色体 1q21.1 の特定領域における微小欠失と微小重複の有無を調べた.

結 果

患児 5,218 例を対象としたスクリーニングにより,1q21.1 に反復性の 1.35 Mb の欠失を有する 25 例を同定した.この微小欠失は,8 例が新規発生(de novo)であり,3 例は軽度の障害を有する親から遺伝し,6 例は一見障害のない親から遺伝し,8 例は遺伝経路不明であった.一連の対照群 4,737 例では欠失は認められなかった(P=1.1×10-7).微小欠失の表現型の発現にはかなりのばらつきがみられ,表現型は軽度~中等度の精神遅滞,小頭症,心奇形,白内障などであった.相互重複(reciprocal duplication)は,精神遅滞または自閉症スペクトル障害で,さまざまな特徴を有する小児 9 例で頻度が高かった(P=0.02).精神遅滞と先天性奇形を有する独立したサンプル 788 例の 1q21.1 領域に,3 つの欠失と 3 つの複製を同定した.

結 論

反復性の染色体構造異常が同定された.これにより,症候に基づく分類を回避することが可能となり,疾患の発現を特定の疾患に帰することなく,発達というより広い背景のもとで検討されるようになるだろう.これらの異常を有する患者の臨床診断は,表現型ではなく遺伝子型をもとにすることで,もっとも容易になる可能性がある.

本論文(10.1056/NEJMoa0805384)は,2008 年 9 月 10 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1685 - 99. )