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日本語アブストラクト

November 20, 2008 Vol. 359 No. 21

HIV 感染乳児における早期抗レトロウイルス療法と死亡率
Early Antiretroviral Therapy and Mortality among HIV-Infected Infants

A. Violari and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の血清陽性率の高い国々では,HIV 感染が乳児死亡率の大きな原因となっている.われわれは,HIV 感染小児に対する早期抗レトロウイルス療法(Children with HIV Early Antiretroviral Therapy:CHER)試験において,抗レトロウイルス薬を用いた治療戦略を検討した.

方 法

生後 6~12 週で,CD4 リンパ球の割合(CD4 パーセンテージ)が 25%以上である HIV 感染乳児を,CD4 パーセンテージが 20%未満(1 歳未満の場合 25%未満)に低下した場合,もしくは臨床基準を満たした場合に抗レトロウイルス療法(ロピナビル・リトナビル,ジドブジン,ラミブジン)を開始する群(待機抗レトロウイルス療法群)と,抗レトロウイルス療法をただちに開始して 1 歳ないし 2 歳まで行う群(早期抗レトロウイルス療法群)に無作為に割り付けた.待機抗レトロウイルス療法群の乳児の早期転帰を,早期抗レトロウイルス療法群の乳児と比較・検討した結果を報告する.

結 果

中央値 7.4 週齢(四分位範囲 6.6~8.9),CD4 パーセンテージの中央値 35.2%(四分位範囲 29.1~41.2)で,125 例を待機療法群に,252 例を早期療法群に無作為に割り付けた.中央値 40 週(四分位範囲 24~58)の追跡後,待機療法群の 66%が抗レトロウイルス療法を開始した.待機療法群では 20 例(16%)が死亡したのに対し,早期療法群では 10 例(4%)が死亡した(死亡のハザード比 0.24,95%信頼区間 [CI] 0.11~0.51,P<0.001).待機療法群の 32 例(26%),早期療法群の 16 例(6%)で,米国疾病対策予防センター(CDC)の指標である病期 C または重症の病期 B に進行した(進行のハザード比 0.25,95% CI 0.15~0.41,P<0.001).早期療法群の 4 例では,3 例で好中球減少,1 例で貧血を認めたため,ジドブジンがスタブジン(stavudine)に変更された.永続的に中止された薬剤はなかった.データ・安全性モニタリング委員会による検討後,待機療法群は変更され,この群の乳児は全例が抗レトロウイルス療法の開始について再評価を受けた.

結 論

HIV の早期診断と早期抗レトロウイルス療法により,乳児の早期死亡率は 76%低下し,HIV 進行率は 75%低下した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00102960)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 2233 - 44. )