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July 24, 2008 Vol. 359 No. 4

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薬剤耐性 HIV-1 感染に対するラルテグラビルに関するサブグループ解析と耐性解析
Subgroup and Resistance Analyses of Raltegravir for Resistant HIV-1 Infection

D.A. Cooper and Others

背景

3 クラスの薬剤に耐性を示すヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)に感染し,抗レトロウイルス療法に失敗した患者を対象とした 2 つの同一試験で,ラルテグラビル(raltegravir)の有効性とウイルス耐性の発現について検討した.

方 法

両試験の 48 週の時点のデータに関するサブグループ解析を,ベースラインの予後因子に基づいて行った.さらに,ウイルス学的失敗をきたしたラルテグラビル投与患者に対して,インテグラーゼ遺伝子の遺伝子型検査を行った.

結 果

ラルテグラビルに対するウイルス学的反応は,プラセボに比べ一貫して優れていた.この結果は,ベースラインの HIV-1 RNA 量;CD4 細胞数;遺伝子型・表現型感受性スコア;至適基礎療法でのダルナビル,エンフュービルタイド(enfuvirtide),または両剤の使用状況;人口統計学的特性とは無関係であった.2 つの試験を合わせると,エンフュービルタイドとダルナビルを最初に併用していた患者で HIV-1 RNA 量 50 コピー/mL 未満を達成したのは,ラルテグラビル群で 89%,プラセボ群で 68%であった.ダルナビル,エンフュービルタイドのいずれかを最初に服用していた患者で HIV-1 RNA 量 50 コピー/mL 未満を達成したのは,ラルテグラビル群でそれぞれ 69%と 80%,プラセボ群で 47%と 57%であった.48 週の時点で,ラルテグラビル群の 462 例のうち 105 例(23%)がウイルス学的失敗をきたした.遺伝子型検査は,ウイルス学的失敗をきたしたラルテグラビル群の 94 例を対象に行った.ラルテグラビルに対する表現型耐性に関連することが知られているインテグラーゼ変異は,治療中に 64 例(68%)で検出された.これら 64 例のうち,48 例(75%)は耐性に関連する変異を 2 つ以上有していた.

結 論

2 つの試験を合わせると,臨床的に意義のある患者サブグループにおいて,ラルテグラビルは至適基礎療法との併用下で,プラセボに比べて好ましい治療効果を一貫して示すことが明らかにされた.このサブグループには,HIV-1 RNA 量が多く,CD4 細胞数が少なく,遺伝子型・表現型の感受性スコアが低いなど,抗レトロウイルス療法に対する反応が不良と通常予測されるベースライン特性を有する患者が含まれた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00293267,NCT00293254)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 355 - 65. )