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August 14, 2008 Vol. 359 No. 7

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安定冠動脈疾患患者の QOL に対する経皮的冠動脈インターベンションの効果
Effect of PCI on Quality of Life in Patients with Stable Coronary Disease

W.S. Weintraub and Others

背景

慢性冠動脈疾患患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が,至適薬物療法よりも QOL を向上させる可能性があるかどうかは明らかにされていない.

方 法

安定冠動脈疾患患者 2,287 例を,PCI と至適薬物療法を行う群(PCI 群)と,至適薬物療法を単独で行う群(薬物療法群)に無作為に割り付けた.狭心症特有の健康状態(シアトル狭心症質問票 [Seattle Angina Questionnaire])と,全般的な身体・精神機能(RAND 36 項目健康調査 [RAND-36])を評価した.

結 果

ベースラインで,狭心症が認められなかった患者は 22%であった.3 ヵ月の時点では,PCI 群で 53%,薬物療法群で 42%であった(P<0.001).ベースラインにおけるシアトル狭心症質問票スコア(0~100 点で,スコアが高いほど良好な健康状態を示す)の平均(±SD)は,身体機能の制限が 66±25 点,狭心症の安定性が 54±32 点,狭心症の頻度が 69±26 点,治療満足度が 87±16 点,QOL が 51±25 点であった.3 ヵ月の時点までに,これらのスコアは PCI 群で薬物療法群を上回り,身体機能の制限は 76±24 点 対 72±23 点(P=0.004),狭心症の安定性は 77±28 点 対 73±27 点(P=0.002),狭心症の頻度は 85±22 点 対 80±23 点(P<0.001),治療満足度は 92±12 点 対 90±14 点(P<0.001),QOL は 73±22 点 対 68±23 点(P<0.001)となった.概して,PCI により,6~24 ヵ月における患者への利益は増し,狭心症の重症度が高いほどその利益は大きくなった.RAND-36 についても,すべてではないがいくつかの項目で PCI による利益の増加がみられた.36 ヵ月の時点では,健康状態における治療群間の有意差は認められなかった.

結 論

安定狭心症患者の健康状態は,PCI 群と薬物療法群の両方で追跡調査期間中に顕著に改善した.PCI 群では,わずかではあるが有意な利益の増加がみられたが,36 ヵ月の時点ではみられなくなった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00007657)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 677 - 87. )