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August 14, 2008 Vol. 359 No. 7

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経皮的冠動脈インターベンション施行時におけるビバリルジンと未分画ヘパリンの比較
Bivalirudin versus Unfractionated Heparin during Percutaneous Coronary Intervention

A. Kastrati and Others

背景

安定狭心症または不安定狭心症で,クロピドグレルによる前治療後に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者において,ビバリルジン(bivalirudin)が,未分画へパリンよりも優れているかどうかについては明らかにされていない.

方 法

安定狭心症または不安定狭心症(トロポニン T 値,クレアチニンキナーゼ MB 値は正常)で,PCI 施行の 2 時間以上前にクロピドグレル 600 mg を投与する前治療を受け,その後 PCI を受ける患者 4,570 例を対象とした.二重盲検下で 2,289 例をビバリルジン投与群に,2,281 例を未分画へパリン投与群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,死亡,心筋梗塞,無作為化後 30 日以内の心筋虚血による標的血管の緊急血行再建術,および指標となる入院期間中の重大な出血の複合とした(エンドポイント発生率の低下を,臨床上の実質的な利益と定義した).副次的エンドポイントは,死亡,心筋梗塞,標的血管の緊急血行再建術の複合とした.

結 果

主要エンドポイントの発生率は,ビバリルジン群で 8.3%(190 例)であったのに対し,未分画へパリン群では 8.7%(199 例)であった(相対リスク 0.94,95%信頼区間 [CI] 0.77~1.15,P=0.57).副次的エンドポイントは,ビバリルジン群の 134 例(5.9%),未分画へパリン群の 115 例(5.0%)で発生した(相対リスク 1.16,95% CI 0.91~1.49,P=0.23).重大な出血の発生率は,ビバリルジン群で 3.1%(70 例),未分画へパリン群で 4.6%(104 例)であった(相対リスク 0.66,95% CI 0.49~0.90,P=0.008).

結 論

安定狭心症または不安定狭心症で,クロピドグレルによる前治療後に PCI を受けた患者において,ビバリルジンは,未分画へパリンと比較して臨床上の実質的利益をもたらさなかった(すなわち,ビバリルジンにより,死亡,心筋梗塞,標的血管の緊急血行再建術,重大な出血から成る複合エンドポイントの発生率は低下しなかった).しかし,重大な出血の発生率は有意に低下した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00262054)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 688 - 96. )