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August 14, 2008 Vol. 359 No. 7

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高齢の閉経後女性におけるチボロンの効果
The Effects of Tibolone in Older Postmenopausal Women

S.R. Cummings and Others

背景

チボロン(tibolone)は,エストロゲン,プロゲストーゲン,アンドロゲン様の作用を有する.チボロンにより骨量減少は予防できるが,骨折,乳癌,心血管疾患への作用は明らかでない.

方 法

この無作為化試験では,60~85 歳の女性で,股関節もしくは脊椎の骨密度 T スコアが-2.5 以下であるか,または T スコアが-2.0 以下で脊椎骨折の X 線所見が認められた 4,538 例を,1 日 1 回チボロン(1.25 mg)を投与する群と,プラセボを投与する群に割り付けた.脊椎の X 線写真を年 1 回撮影し,脊椎骨折の評価に用いた.心血管イベントと乳癌の発症率は専門家委員会が判定した.

結 果

中央値 34 ヵ月の投与期間中,チボロン群では,1,000 人年あたりの脊椎骨折のリスクは,プラセボ群 126 症例に対し 70 症例 に減少し(相対ハザード 0.55,95%信頼区間 [CI] 0.41~0.74,P<0.001),1,000 人年あたりの脊椎以外の骨折のリスクは,プラセボ群 166 症例に対し 122 症例に減少した(相対ハザード 0.74,95% CI 0.58~0.93,P=0.01).チボロン群では,浸潤性乳癌のリスク(相対ハザード 0.32,95% CI 0.13~0.80,P=0.02)と結腸癌のリスクも減少した(相対ハザード 0.31,95% CI 0.10~0.96,P=0.04).しかし,チボロン群では脳卒中のリスクが増加し(相対ハザード 2.19,95% CI 1.14~4.23,P=0.02),このため試験はデータ・安全性モニタリング委員会の勧告で 2006 年 2 月に中止された.両群間で,冠動脈性心疾患,静脈血栓塞栓症のいずれのリスクにも有意差はなかった.

結 論

骨粗鬆症の高齢女性において,チボロンは,骨折,乳癌,そしておそらく結腸癌のリスクを減少させるが,脳卒中のリスクを増大させる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00519857)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 697 - 708. )