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August 21, 2008 Vol. 359 No. 8

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妊娠高血圧腎症と末期腎不全のリスク
Preeclampsia and the Risk of End-Stage Renal Disease

B.E. Vikse and Others

背景

妊娠高血圧腎症が,その後の末期腎不全(end-stage renal disease:ESRD)発症のリスクマーカーであるかどうかは明らかにされていない.

方 法

1 回以上の妊娠時における妊娠高血圧腎症と,その後の ESRD 発症との関係を検討するため,ノルウェー出生登録(Medical Birth Registry of Norway)のデータと,ノルウェー腎臓登録(Norwegian Renal Registry)のデータを組み合わせた.ノルウェーの出生登録には 1967 年以降のノルウェーにおけるすべての出生データが含まれ,ノルウェー腎臓登録には 1980 年以降に ESRD の診断を受けた全患者のデータが含まれる.対象集団は 1967~91 年にはじめて単胎児を出生した女性で構成されており,妊娠 3 回を上限としてデータを収集した.

結 果

570,433 例中 477 例が ESRD を発症した.初回妊娠からの経過期間の平均(±SD)は 17±9 年であった(全発症率 3.7/女性 100,000 人年).1 回以上妊娠した女性では,初回妊娠中の妊娠高血圧腎症は,ESRD の相対リスク 4.7(95%信頼区間 [CI] 3.6~6.1)と関連していた.2 回以上妊娠した女性では,1 回目の妊娠中の妊娠高血圧腎症は ESRD の相対リスク 3.2(95% CI 2.2~4.9)と関連し,2 回目の妊娠中の妊娠高血圧腎症は相対リスク 6.7(95% CI 4.3~10.6)と関連し,1 回目・2 回目の妊娠中の妊娠高血圧腎症は相対リスク 6.4(95% CI 3.0~13.5)と関連していた.3 回以上妊娠した女性では,1 回の妊娠中の妊娠高血圧腎症は ESRD の相対リスク 6.3(95% CI 4.1~9.9)と関連し,2 回,3 回の妊娠中の妊娠高血圧腎症は相対リスク 15.5(95% CI 7.8~30.8)と関連していた.低出生体重児または早産児の出産により,ESRD の相対リスクは上昇した.可能性のある交絡因子で補正後も,妊娠前に腎疾患,リウマチ性疾患,本態性高血圧,糖尿病を有していた女性を除外後も,得られた結果は同等であった.

結 論

妊娠高血圧腎症の既往を有する女性において ESRD の絶対リスクは低いとはいえ,妊娠高血圧腎症はその後の ESRD 発症リスク増加の指標となる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 800 - 9. )