腹部大動脈瘤に対する開腹手術と血管内治療の長期転帰の比較
Long-Term Outcome of Open or Endovascular Repair of Abdominal Aortic Aneurysm
J.L. De Bruin and Others
無作為化試験において,大きな腹部大動脈瘤を有する患者への待期的血管内治療は,従来の開腹手術に比べて初期の全生存率を改善させることが示されている.しかしこの生存率の差は,術後 2 年目には有意ではなかった.術後 2 年を超える転帰の比較に関する情報は臨床的意思決定に重要である.
開腹手術と血管内治療の長期多施設共同無作為化比較試験を,直径 5 cm 以上の腹部大動脈瘤を有し,両手技が適応と考えられる患者 351 例を対象に行った.主要転帰は全死因死亡率と再介入率とした.生存率は Kaplan–Meier 法を用い,intention-to-treat に基づいて算出した.
178 例を開腹手術群,173 例を血管内治療群に無作為に割り付けた.無作為化後 6 年で累積生存率は,開腹手術群 69.9%,血管内治療群 68.9%であった(差 1.0 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -8.8~10.8,P=0.97).二次介入を行っていない患者の累積比率は,開腹手術群 81.9%,血管内治療群 70.4%であった(差 11.5 パーセントポイント,95% CI 2.0~21.0,P=0.03).
無作為化後 6 年の時点で,腹部大動脈瘤に対する血管内治療と開腹手術の生存率は同程度であった.二次介入率は血管内治療のほうが有意に高かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00421330)