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February 11, 2010 Vol. 362 No. 6

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透析アクセスグラフト不全に対するステントグラフト内挿術とバルーン血管形成術の比較
Stent Graft versus Balloon Angioplasty for Failing Dialysis-Access Grafts

Z.J. Haskal and Others

背景

動静脈血液透析アクセスグラフト不全の主な原因は,静脈吻合部狭窄である.第一選択療法であるバルーン血管形成術では,その後リコイルや再狭窄が生じやすい.しかし現在のところ,より有効であることが実証された治療法はほかに存在しない.この試験は,血液透析グラフト不全患者の静脈吻合部狭窄に対する修復において,従来のバルーン血管形成術と,延伸ポリテトラフルオロエチレン製のステントグラフト内挿術を比較するためにデザインされた.

方 法

静脈吻合部狭窄が認められた血液透析患者 190 例を対象に,前向き多施設共同試験を実施した.患者を,バルーン血管形成術を単独で行う群と,バルーン血管形成術とステントグラフト内挿術を併用する群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,治療部位の開存性と血管アクセス回路全体の開存性とした.

結 果

6 ヵ月後の治療部位の開存率は,ステントグラフト群のほうがバルーン血管形成術群より有意に高く(51% 対 23%,P<0.001),アクセス回路の開存率も同様であった(38% 対 20%,P=0.008).さらに,6 ヵ月の時点でその後の介入が不要であった患者の割合も,ステントグラフト群のほうがバルーン血管形成術群より有意に高かった(32% 対 16%,log-rank 検定で P=0.03,Wilcoxon の順位和検定で P=0.04).6 ヵ月後の二値変数での再狭窄発生率は,バルーン血管形成術群のほうがステントグラフト群より高かった(78% 対 28%,P<0.001).6 ヵ月後の有害事象発生率は,バルーン血管形成術群でより多くみられた再狭窄(P<0.001)を除き,両群で同程度であった.

結 論

この試験では,ステントグラフトの使用により,血液透析グラフト患者の静脈吻合部狭窄に対する経皮的修復の成績が改善された.この治療法により,標準的なバルーン血管形成術に比べて長期的かつ良好な開存性が得られ,再介入が不要になると考えられる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00678249)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 494 - 503. )