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February 11, 2010 Vol. 362 No. 6

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インドにおける内臓リーシュマニア症に対するリポソーム封入アムホテリシン B の単回投与
Single-Dose Liposomal Amphotericin B for Visceral Leishmaniasis in India

S. Sundar and Others

背景

世界中の内臓リーシュマニア症(カラアザール)患者の約 50%はインドのビハール州に居住している.リポソーム封入アムホテリシン B の投与は,短期間であれば有効な治療法である.同薬の単回点滴静注の有効性について,従来の非経口療法であるアムホテリシン B デオキシコール酸塩の隔日 15 回点滴静注に劣るかどうかを検討した.

方 法

非盲検試験において,412 例の患者を 3:1 の割合でリポソーム封入アムホテリシン B を投与する群(リポソーム群)と,アムホテリシン B デオキシコール酸塩を投与する群(従来療法群)に無作為に割り付けた.リポソーム封入アムホテリシン B(10 mg/kg 体重)は 1 回点滴静注し,その 24 時間後に退院・帰宅させた.アムホテリシン B デオキシコール酸塩は,29 日の入院期間中に 1 mg/kg を隔日 15 回点滴静注した.治療後 6 ヵ月の時点で治癒率を調査した.

結 果

リポソーム群の 304 例中 304 例(100%)と従来療法群の 108 例中 106 例(98%)の計 410 例では,30 日の時点で外見上の治癒反応が認められた.6 ヵ月の時点における治癒率は両群で同等であり,リポソーム群 95.7%(95%信頼区間 [CI] 93.4~97.9),従来療法群 96.3%(95% CI 92.6~99.9)であった.有害事象は,リポソーム群では投与に伴う発熱または悪寒(40%),貧血または血小板減少の増悪(2%)が認められ,従来療法群では発熱または悪寒(64%),貧血の増悪(19%),低カリウム血症の増悪(2%)が認められた.腎毒性または肝毒性が発現した患者は各群とも 1%以下であった.

結 論

リポソーム封入アムホテリシン B の単回点滴静注は,アムホテリシン B デオキシコール酸塩による従来療法に比べて,有効性は劣らず,より安価であった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00628719)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 504 - 12. )