The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

February 25, 2010 Vol. 362 No. 8

HIV 感染者における結核のスクリーニングと診断のアルゴリズム
An Algorithm for Tuberculosis Screening and Diagnosis in People with HIV

K.P. Cain and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者に対しては,結核を早期に診断し,抗レトロウイルス療法とイソニアジドの予防投与を安全に開始するために,結核のスクリーニングが推奨されている.エビデンスに基づく国際的ガイドラインには結核スクリーニングの至適方法に言及しているものはないが,慢性咳嗽のスクリーニングが一般に行われている.

方 法

カンボジア,タイ,ベトナムの外来診療所 8 施設で,HIV 感染者を連続的に登録した.各患者から喀痰を 3 検体,尿,便,血液,リンパ節吸引細胞(リンパ節腫脹患者に対して)を 1 検体ずつ採取し,マイコバクテリアの培養を行った.1 検体以上が培養陽性という結果から結核と診断された患者と,結核と診断されなかった患者の特性を比較し,スクリーニングと診断のアルゴリズムを導出した.

結 果

1,748 例(CD4+ T リンパ球数の中央値 242/mm3,四分位範囲 82~396)のうち,267 例(15%)が結核と診断された.過去 4 週間のうち,2,3 週間以上続いた咳嗽による結核検出の感度は 22~33%であった.過去 4 週間のうち,持続期間を問わない咳嗽,持続期間を問わない発熱,3 週間以上続いた寝汗の 3 症状による結核検出の感度は 93%で,特異度は 36%であった.これらの症状のうちいずれか 1 つでもみられた 1,199 例では,喀痰塗抹 2 検体が陰性,胸部 X 線が正常,CD4+細胞数が 350/mm3 以上という所見の組合せが,結核診断の除外に有用であった.一方,結核陽性と診断しえたのは,喀痰塗抹 1 検体以上が陽性であった 113 例(9%)のみであった.すなわちほかのほとんどの患者はマイコバクテリアの培養検査を要した.

結 論

HIV 感染者における結核スクリーニングでは,慢性咳嗽以外の症状の組合せについても問診する必要があると考えられる.咳嗽・発熱・寝汗のスクリーニングですべて陰性であった患者には,抗レトロウイルス療法とイソニアジドの予防投与を安全に開始することができる可能性が高い.一方,ほかのほとんどの患者では,結核の診断にはマイコバクテリアの培養検査を要すると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 707 - 16. )