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September 16, 2010 Vol. 363 No. 12

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腎臓病と 2 型糖尿病における赤血球造血反応と転帰
Erythropoietic Response and Outcomes in Kidney Disease and Type 2 Diabetes

S.D. Solomon and Others

背景

慢性腎臓病患者において目標ヘモグロビン値を低くした場合と高くした場合とを比較した,赤血球造血刺激因子製剤(ESA)に関する非プラセボ対照試験から,目標ヘモグロビン値を低くすることで,ESA に関連したリスクが回避できる可能性が示されている.しかし,目標値に基づいた戦略では,各患者の造血反応との交絡が認められる.

方 法

慢性腎臓病と 2 型糖尿病を有し,透析を受けていない患者 1,872 例を対象に,ダルベポエチンα を体重に基づく用量で 2 回投与したあとのヘモグロビンの初期反応,4 週の時点でのヘモグロビン値,その後のダルベポエチンα の投与量,転帰のあいだの関連を評価した.ダルベポエチンα に対する初期反応不良(471 例で確認)は,標準化した用量での最初の 2 回の投与後のヘモグロビン値の変化率が最低四分位群( 2%未満)であることと定義した.

結 果

ダルベポエチンα に対し初期反応不良であった患者では,反応が良好であった患者(ヘモグロビン値の変化率が2%以上 8%未満群,8%以上 15%未満群,15%以上群)に比べ,12 週の時点と追跡調査中のダルベポエチンα の投与量が多かったにもかかわらず(投与量の中央値 232 μg 対 167 μg,P<0.001),平均ヘモグロビン値が低かった(両比較について P<0.001).反応不良であった患者では,反応がより良好であった患者に比べ,心血管複合エンドポイントの発生率(補正ハザード比 1.31,95%信頼区間 [CI] 1.09~1.59),死亡の発生率(補正ハザード比 1.41,95% CI 1.12~1.78)が高かった.

結 論

ダルベポエチン αに対する初期の造血反応が不良な場合,目標ヘモグロビン値を達成するためにダルベポエチン αが増量されるため,その後の死亡または心血管イベントのリスクの上昇がみられた.用量による効果の違いの機序は明らかではないが,これらの結果から,慢性腎臓病患者の貧血治療における目標値に基づく現在の戦略に懸念が生じる.(Amgen 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号: NCT00093015)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1146 - 55. )