September 16, 2010 Vol. 363 No. 12
禁煙法と小児喘息による入院
Smoke-free Legislation and Hospitalizations for Childhood Asthma
D. Mackay and Others
これまでの研究により,全面禁煙法の施行後,バーで働く人の呼吸器症状が減少していることが示されている.しかし,環境たばこ煙への職業的曝露のない人においても,呼吸器疾患が減少しているかどうかは不明である.この研究の目的は,スコットランドで 2006 年 3 月から公共の場での喫煙が禁止されたことで,小児喘息による入院率に影響があったかどうかを検討することである.
ルーチンの病院管理データを用いて,2000 年 1 月~2009 年 10 月のスコットランドにおける 15 歳未満の小児の喘息による全入院を同定した.年齢群(就学児・未就学児),性別,社会経済的地位の五分位群,都市在住か地方在住か,月,年について補正し,負の二項回帰モデルを当てはめた.交互作用の検定も行った.
法律の施行前は,喘息による入院は年平均 5.2%の割合で増加していた(95%信頼区間 [CI] 3.9~6.6).法律の施行後は,2006 年 3 月 26 日との比較で,年平均 18.2%低下した(95% CI 14.7~21.8,P<0.001).この低下は,未就学児と就学児の両方で,明らかに認められた.喘息による入院と,年齢群,性別,都市在住か地方在住か,地域,社会経済的地位の五分位群とのあいだに有意な交互作用は認められなかった.
スコットランドにおける 2006 年の禁煙法成立は,環境たばこ煙に職業的に曝露される人以外の集団において,その後の呼吸器疾患の発生率の低下に関連していた.(NHS Health Scotland から研究助成を受けた.)