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September 23, 2010 Vol. 363 No. 13

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進行した肺気腫に対する気管支バルブの無作為化試験
A Randomized Study of Endobronchial Valves for Advanced Emphysema

F.C. Sciurba and Others

背景

肺葉から空気を流出させるが流入はさせない気管支バルブを,進行した肺気腫に伴い肺の過膨張をきたした患者に留置することで,肺葉容積が減少し,その結果,肺機能や運動耐容能が改善する可能性がある.

方 法

不均一性肺気腫を有する患者を対象に,気管支バルブ療法と標準的内科治療で安全性と有効性を比較した.有効性エンドポイントは,intention-to-treat 解析による 1 秒量(FEV1)と 6 分間歩行距離の変化(%)とした.6 つの主要合併症の複合発生率に基づき安全性を評価した.

結 果

登録した 321 例のうち,220 例を気管支バルブ療法群(EBV 群),101 例を標準的内科治療群(対照群)に無作為に割り付けた.6 ヵ月の時点の FEV1 は,EBV 群で 4.3%(予測値の 1.0 パーセントポイント)上昇したのに対して,対照群では 2.5%(予測値の 0.9 パーセントポイント)低下した.したがって,FEV1 の平均群間差は 6.8%であった(P=0.005).6 分間歩行距離における群間差もほぼ同様であった.12 ヵ月の時点における合併症の複合発生率は,EBV 群で 10.3%であったのに対し,対照群では 4.6%であった(P=0.17).90 日の時点において,EBV 群では,対照群と比較して,入院を要する慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪(7.9% 対 1.1%,P=0.03),喀血(6.1% 対 0%,P=0.01)の発生率が高かった.12 ヵ月の時点で,EBV 群の標的肺葉における肺炎の発生率は 4.2%であった.肺気腫の不均一性と,葉間裂の完全性の X 線所見が,治療に対する反応の強さと関連していた.

結 論

進行した不均一性肺気腫に対する気管支バルブ療法により,肺機能,運動耐容能,症状に軽度の改善が認められたが,一方で留置後に COPD の増悪,肺炎,喀血の頻度が上昇した.(Pulmonx 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00129584)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1233 - 44. )