September 23, 2010 Vol. 363 No. 13
電話によるケアマネジメント戦略の無作為化試験
A Randomized Trial of a Telephone Care-Management Strategy
D.E. Wennberg and Others
患者の自己管理スキルを向上させ,患者・医師間の意思疎通を図るためにデザインされた電話介入により,患者の満足度が高まり,予防医療の利用が増加することが,研究によって示されている.そのような戦略が医療費に及ぼす影響については議論が続いている.
電話をベースとしたケアマネジメント戦略が医療費と医療資源の利用に及ぼす影響を評価するために,174,120 例を対象に層別無作為化試験を行った.健康指導員が,特定の病態を有し医療費が高額になると予測される被験者に連絡し,ともに行う意思決定,セルフケア,行動の変化に関して指導した.被験者を,通常の支援を受ける群と,強化した支援を受ける群のいずれかに無作為に割り付けた.両群に同じ電話介入を実施したが,予測される将来の医療費のカットオフポイントを低く設定し,適格とする病態の数を拡大することにより,強化支援群ではより多くの被験者がコーチングに適格とされた.1 年後の主要転帰は,総医療費と入院件数とした.
ベースラインでは,医療費と医療資源の利用は両群で同程度であった.12 ヵ月後,強化支援群の 10.4%.通常の支援群の 3.7%が電話介入を受けていた.強化支援群における 1 人あたりの 1 ヵ月の平均医療費・薬剤費は,通常の支援群より 3.6%(7.96 ドル)低く(213.82 ドル 対 221.78 ドル,P=0.05),年間入院件数は 10.1%低かった(P<0.001).この入院件数の差が節減された金額の大部分を占めた.この介入プログラムの費用は,1 人あたり月 2.00 ドル未満であった.
この集団ベースの研究では,対象を絞った電話でのケアマネジメントプログラムにより,医療費と入院件数を減少させることができた.(Health Dialog Services から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00793260)