The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 18, 2010 Vol. 363 No. 21

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

G551D-CFTR 変異を有する嚢胞性線維症患者に対する VX-770 の効果
Effect of VX-770 in Persons with Cystic Fibrosis and the G551D-CFTR Mutation

F.J. Accurso and Others

背景

嚢胞性線維症治療の新たなアプローチとして,変異した嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)の機能の改善がある.CFTR 増強薬である VX-770 は,in vitro で野生型,欠損型いずれも細胞表面 CFTR の活性を高めることが示されている.

方 法

G551D-CFTR 対立遺伝子を少なくとも 1 つもつ嚢胞性線維症の成人患者 39 例を対象に 2 部構成の無作為化プラセボ対照試験を行った.第 1 部では 20 例を VX-770 25 mg 群,75 mg 群,150 mg 群,プラセボ群のいずれかに割り付け,経口投与を 12 時間ごとに 14 日間行った.第 2 部では 19 例を VX-770 150 mg 群,250 mg 群,プラセボ群のいずれかに割り付け,経口投与を 12 時間ごとに 28 日間行った.

結 果

28 日の時点での VX-770 150 mg 群の鼻電位差(塩化物を含まないイソプロテレノール溶液の投与に対する反応)のベースラインからの変化量の中央値は -3.5 mV(-8.3~0.5,個人内比較について P=0.02,プラセボ群との比較について P=0.13)であり,汗中塩化物濃度の変化量の中央値は -59.5 mmol/L(-66.0~-19.0,個人内比較について P=0.008,プラセボ群との比較について P=0.02)であった.1 秒量の予測値に対する割合(%)のベースラインからの変化量の中央値は 8.7%(2.3~31.3,個人内比較について P=0.008,プラセボ群との比較について P=0.56)であった.試験を中止した例はなかった.2 例で重度の有害事象が 6 件発生した(1 例での散在性の斑状皮疹と,糖尿病合併例 1 例での5 回の血糖値・尿糖値上昇)が認められた.重度の有害事象はすべて,VX-770 投与を中止せずとも消失した.

結 論

VX-770 の安全性と有害事象プロファイルの評価を目的としたこの試験から,VX-770 は CFTR と肺機能の個人内での改善に関連していることが示された.この結果は,嚢胞性線維症の治療手段としての薬剤による CFTR の増強について,さらなる研究を支持するものである.(Vertex Pharmaceuticals 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00457821)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 1991 - 2003. )