The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

November 18, 2010 Vol. 363 No. 21

HIV 感染レシピエントにおける腎移植の成績
Outcomes of Kidney Transplantation in HIV-Infected Recipients

P.G. Stock and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者における腎移植と免疫抑制療法の成績は十分には明らかにされていない.

方 法

HIV に感染し,安定した抗レトロウイルス療法を受け,CD4+T 細胞数が 200 個/mm3 以上で,血漿 HIV 1 型(HIV-1)RNA が検出されない候補者を対象に,腎移植の前向き非無作為化試験を実施した.日和見感染に対する予防,生検の適応,免疫抑制/拒絶反応の管理/抗レトロウイルス療法に関する許容可能な方法を規定した試験プロトコールに従い,移植後管理を行った.

結 果

2003 年 11 月~2009 年 6 月のあいだに,計 150 例の患者が腎移植を受け,生存者を中央値で 1.7 年追跡した.患者生存率(±SD)は,1 年の時点では 94.6±2.0%,3 年の時点では 88.2±3.8%であり,平均移植腎生着率はそれぞれ 90.4%,73.7%であった.これらの数値は,全米のデータベースにおいて高齢の腎移植レシピエント(65 歳以上)で報告されている値と,腎移植レシピエント全体で報告されている値のあいだに位置する.多変量比例ハザード解析により,移植腎廃絶リスクは,拒絶反応に対する治療を行った患者(ハザード比 2.8,95%信頼区間 [CI] 1.2~6.6,P=0.02)と,抗胸腺細胞グロブリンによる導入療法を行った患者(ハザード比 2.5,95% CI 1.1~5.6,P=0.03)において増加することが示された.その一方で,生体ドナー移植には保護効果が認められた(ハザード比 0.2,95% CI 0.04~0.8,P=0.02).拒絶反応率は予測値より高く,推定値は 1 年の時点では 31%(95% CI 24~40),3 年の時点では 41%(95% CI 32~52)であった.HIV 感染はコントロール良好状態が維持され,CD4+T 細胞数が安定し,HIV 合併症はほとんど認められなかった.

結 論

慎重に選択した HIV 感染患者のコホート集団において,移植後 1 年の時点,3 年の時点での患者生存率と移植腎生着率はともに高く,HIV 合併症の増加はみられなかった.拒絶反応率が予想外に高かったことは重大な懸念であり,より優れた免疫療法の必要性が示唆される.(米国国立アレルギー感染症研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00074386)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 2004 - 14. )