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December 2, 2010 Vol. 363 No. 23

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リンパ節転移陰性の高リスク乳癌に対するドセタキセル補助療法
Adjuvant Docetaxel for High-Risk, Node-Negative Breast Cancer

M. Martín and Others

背景

リンパ節転移陽性乳癌を有する女性に対する補助療法として,ドセタキセル,ドキソルビシン,シクロホスファミドを用いたレジメン(TAC)は,フルオロウラシル,ドキソルビシン,シクロホスファミドを用いたレジメン(FAC)よりも優れている.リンパ節転移陰性乳癌の治療におけるタキサン系薬剤の有用性は明らかにされていない.

方 法

腋窩リンパ節転移陰性の乳癌を有し,再発の高リスク因子(1998 年のザンクトガレン基準に基づく)を 1 つ以上有する女性 1,060 例を TAC 群と FAC 群に無作為に割り付け,術後に 3 週ごとの投与を 6 サイクル行った.主要エンドポイントは,最低 5 年間追跡したあとの無病生存率とした.副次的エンドポイントは,全生存率,毒性などとした.

結 果

追跡期間中央値 77 ヵ月の時点での無病生存率は,539 例から成る TAC 群(87.8%)のほうが 521 例から成る FAC 群(81.8%)よりも高く,TAC 群の再発リスクが 32%減少したことが示された(ハザード比 0.68,95%信頼区間 [CI] 0.49~0.93,log-rank 検定による P=0.01).この有益性は,ホルモン受容体の状態,閉経状態,高リスク因子の数にかかわらず一貫していた.生存率の差(TAC 群 95.2%,FAC 群 93.5%)は有意ではなかったが(ハザード比 0.76,95% CI 0.45~1.26),イベント発生数は少なかった(TAC 群 26 件,FAC 群 34 件).グレード 3 または 4 の有害事象の発現率は,TAC 群 28.2%,FAC 群 17.0%であった(P<0.001).TAC に関連した毒性は,顆粒球コロニー刺激因子の予防的投与を行うと減少した.

結 論

FAC による補助療法と比較して,TAC による補助療法によりリンパ節転移陰性の高リスク乳癌を有する女性の無病生存率が改善した.(GEICAM 社,Sanofi-Aventis 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00121992)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 2200 - 10. )