The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 9, 2010 Vol. 363 No. 24

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

太い冠動脈における薬剤溶出ステントとベアメタルステントの比較
Drug-Eluting versus Bare-Metal Stents in Large Coronary Arteries

C. Kaiser and Others

背景

太い冠動脈に疾患がある患者では,第一世代の薬剤溶出ステントを用いた経皮的インターベンションにより,ベアメタルステントを用いた場合に比べて,遅発性心イベントのリスクが上昇することが最近のデータから示唆されている.われわれの目的は,この観察結果を確認することと,このリスク上昇が第二世代の薬剤溶出ステントでも認められるかどうかを評価することである.

方 法

直径 3.0 mm 以上のステントを必要とする患者 2,314 例を,シロリムス溶出ステント留置群,エベロリムス溶出ステント留置群,ベアメタルステント留置群のいずれかに無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,2 年の時点での心臓を原因とする死亡または非致死的心筋梗塞の複合とした.主要副次的エンドポイントは,遅発性イベント(7~24 ヵ月に発生)と標的血管血行再建とした.

結 果

主要エンドポイントの発生率は,シロリムス溶出ステント群 2.6%,エベロリムス溶出ステント群 3.2%,ベアメタルステント群 4.8%で,どちらの薬剤溶出ステント群とベアメタルステント群とのあいだにも有意差は認められなかった.遅発性イベントの発生率と,死亡・心筋梗塞・ステント血栓症の発生率にも,群間で有意差は認められなかった.心筋梗塞に関連しない原因による標的血管血行再建術の施行率は,シロリムス溶出ステント群 3.7%,エベロリムス溶出ステント群 3.1%,ベアメタルステント群 8.9%であった.標的血管血行再建術の施行率は,どちらの薬剤溶出ステント群でもベアメタルステント群に比べて有意に低下し,2 つの薬剤溶出ステント間で有意差は認められなかった.

結 論

太い冠動脈へのステント留置が必要な患者において,死亡または心筋梗塞の発生率に関して,シロリムス溶出ステント,エベロリムス溶出ステント,ベアメタルステントのあいだに有意差は認められなかった.2 つの薬剤溶出ステント群では,標的血管血行再建術の施行率が同程度に低下した.(バーゼル心血管研究財団,スイス国立研究財団から研究助成を受けた.Current Controlled Trials 番号:ISRCTN72444640)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 363 : 2310 - 9. )